忘れないで〜生きた証⑥〜

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長阪 優奈ちゃん(滋賀県高島市:平成18年7月5日死亡/当時2歳)

「勤務態度は真面目。口数は多くないが、しっかりしている」

母親が再婚した相手は、航空自衛官。饗庭野駐屯地で電気関係の任務についていた24歳で、上官からの評価も良かった。

滋賀県中央子ども家庭相談センターの職員も、当初は子育てに不安を抱えていた母親の様子が再婚を機に成長が見られたこともあって、それまで入所措置が取られていた2歳になる女の子を母親の元へ返すことにした。
すでに女児と母親の再婚相手は養子縁組も済んでいる。一つ上の姉(当時3歳)とともに新しい家族として再スタートを切ったその女児は、入所措置停止から2ヶ月後、無惨な姿となって命を落とした。

忘れないで~生きた証⑤~

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山本 涼司くん(兵庫県姫路市:平成12年1月24日死亡/当時6歳)

生死不明の子

その男の子は、もう半年以上その姿を誰にも見られていなかった。
男の子が暮らす姫路市立津田小学校でも、入学通知が届いているはずなのに、学校に来ない男の子を心配していた。

平成12年9月、姫路署にとある相談が持ち込まれる。

「身内の男の子の姿が長いことみえない。その子の姉が、父親が弟を殺して捨てたと言っている」

相談に訪れたのは姿が見えない男の子の親類だった。前々からその子に会えていなかった親類が、ある時10歳の姉に聞いたところ、姉の口から驚愕の話が出たのだ。

警察は両親から事情を聴き始めたところ、すでに男の子は死亡しており、なんと山中に遺棄されていたことが発覚。
その後、両親の供述から兵庫県神崎郡須加院の山に捨てたとの供述を得たことから付近を捜索。9月21日、3回目の捜索で人骨と思われるものが発見された。

鑑定の結果、骨は紛れもなく人骨で、しかも子供のものと判明。両親らの自供と照らし合わせると、この骨があの男の子のものである可能性は高かった。 続きを読む 忘れないで~生きた証⑤~

🔓忘れないで~生きた証④ 続・鬼の棲む家~

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松本〇〇くん(名前不詳/奈良県月ヶ瀬:平成10年7月4日死亡/当時生後8か月)

その男の子は、生後4か月から病院にいた。意識を失い、ずっと寝たままで。
4か月後、まだ1歳にもならない小さなかわいい男の子は、1歳のお誕生日が来る前に、その短い人生を終えた。

奈良県警奈良署は平成20年3月10日、生後4か月の双子の長男と次男に対し虐待を加えたとして、奈良市月ヶ瀬の夫婦を殺人未遂の容疑で逮捕した。
ふたりは共謀し、生後間もないころから双子の兄弟に激しい暴行を加えており、保護された際、長男は慢性硬膜下血腫を、そして次男にいたっては心肺停止で救急搬送されたが、その後低酸素脳症となり、4か月後に脳死と判断された。

死亡した次男は発見時、目を覆うほどの虐待の痕跡のみならず、その腹部には赤ペンで「ブタ」「死ね」という落書きまであった。
両足の骨は折れ、肋骨は11本が骨折していた。

通常、このような重大虐待事件は周囲や行政が気づいていながら防げなかった、という話がついて回るものだが、この事件に関しては周囲が全く気付くことができなかった中で起きていた。

【有料部分 目次】

それまで
いらなかった双子
「バンジー」
「なぜ死んだのかわからない」

鈴木杏実(あずみ)ちゃん(名古屋市南区:平成13年7月17日死亡/当時7歳)
あぶない家
それまで
体罰で子は育つ
悪魔人間
子供たちの悲痛
救おうとしなかった祖母
裁判と信じられない「ふたりのその後」
繰り返される事件、解明されない現実

忘れないで~生きた証③~

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高旗龍翔くん(広島県福山市:平成15年10月下旬頃死亡/当時1歳7か月)

広島県警福山東警察署に、3人の男女が相談に訪れた。
3人は、両親とその娘。娘とは言っても23歳の女性ですでに母親だった。相談内容は、この母親の2歳になる息子の存在が「わからなくなっている」というもの。

対応した警察官らが話を聞いていくうちに、母親は「子どもは死んでいる。どうしていいかわからなくて、埋めた」と話した。

供述に基づき、母親の住んでいるマンションの敷地内を捜索したところ、その場所から遺体を発見したことで、福山東署は女性を死体遺棄容疑で逮捕した。

遺体で発見されたのは、女性の息子の高旗龍翔くん。

母親は昨年4月に離婚しており、以降、龍翔くんと福山市内のマンションで生活していたという。
龍翔くんは未熟児で誕生しており、病弱だったことで、母親の子育ては大変なこともあったようだ。
母親は平成15年の10月中旬頃から、どういう心境だったのかはわからないものの、龍翔くんの世話を「一切しなかった」という。
ミルクや離乳食といった食事はおろか、入浴もさせず、さらには抱いてやることもしなかった。

体調が悪くなっていく龍翔くんを見ながら、そのまま龍翔くんを死なせた。

そして、死んでから「病院に行こう」と思ったものの、途中でどうしていいかわからなくなってマンションの敷地の一角にこっそり埋めたというのだ。

この時点でもはや理解不可能な域にあるため、もしかすると精神鑑定等行われたか、あるいは不起訴になったか。
以降の報道は見つけられなかった。 続きを読む 忘れないで~生きた証③~

忘れないで~生きた証②~

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川田 康代ちゃん(埼玉県比企郡:昭和60年12月3日死亡/当時3歳)

埼玉県比企郡鳩山町内の小学校では、ある問題に直面していた。
昭和63年4月に同小学校に入学したことになっている郡内の女児が、1年経っても登校してこないどころか、自宅を訪問しても家族から「病気なので会えない、治ったら登校させる」といわれるばかりでその姿を確認できていなかったのだ。

何かがおかしいと感じた鳩山町教育委員会は、西入間署に学校教育法違反で女児の母親を告発していた。

告発を受け、家族から事情を聴いていたところ、女児の祖母が「自転車の荷台に乗せていたら落ちてしまった。その後死んだので埋めた」と供述。
警察が庭を調べたところ、子どもの白骨遺体が出た。家族の話や遺体の状況から、白骨遺体は行方が確認できていない女児であると判明した。

白骨遺体で発見されたのは、川田康代ちゃん。
康代ちゃんは双子で、妹にあたる。離婚か死別で実家に戻った母親と、別の姉、そして祖母との暮らしだった。
康代ちゃんを死なせたとして逮捕されたのは、康代ちゃんの母方の祖母、川田喜枝(仮名/当時65歳)。康代ちゃんの母親は、この喜枝の三女にあたる。
当初は事故であるかのような供述をしていた喜枝だったが、実際には布団の上で粗相をした康代ちゃんを叱ったところ、言うことを聞かなかったことでカッとなり頭を殴り、さらには体を蹴飛ばしたという。
その後ぐったりしていたが翌朝まで寝かせておいたところ、朝にはすでに死亡していた。

康代ちゃんの母親にバレるとまずいと思った喜枝は、家族の目を盗んで康代ちゃんの遺体を物置へ隠した。そして、普段からいたずらがひどかったことを持ち出し、「康代はいたずらが過ぎるので県内の専門の施設へ預けた」と言い繕った。
有り得ない話ではあるが、なぜか母親はそれを信じたという。

そして昭和61年の夏ごろに、これ以上物置に置いておくのは無理だとして庭に埋め直していた。

祖母のやったことを母親は知らなかったのか。
いや、母親も、真実を知っていたかどうかは別として、康代ちゃんがすでに死亡しているのではないかということは勘づいていた。
というのも、昭和63年度の入学児童の就学前健康診断に、康代ちゃんが参加したことになっていたのだ。
どういうことかというと、康代ちゃんだとして健康診断を受けたのは、双子の姉だったのだ。

実は姉はこの時点で他の市の施設に預けられており、姉には鳩山町からの就学案内は来ていなかった。そこで、双子の姉を康代ちゃんと偽って鳩山町の就学前健康診断に行かせていたのだ。
誰が?双子の姉を施設から連れ出し、健診を受けさせていたのは母親だった。

警察は以前から喜枝以外の人間も康代ちゃんをせっかんして怪我をさせていた事実を掴んでいた。
死体遺棄は時効が成立していたが、警察では傷害致死にあたる可能性があるとして捜査を進めたが、その後の報道はない。

康代ちゃんの死という事実だけが、残っている。 続きを読む 忘れないで~生きた証②~