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結婚生活と些細なほころび
結婚式などにもこだわらず、一緒に生きることのみを求めた息子と14歳年上の子連れの光子に、父親はそれでもこうなった以上はと歩み寄りを見せた。
光子の両親に挨拶に行こうと息子に相談したが、「彼女がそういうことはいらないと言っている」と、消極的な態度であったのは少し気になった。
また、反対していたとはいえ、今まで1度も光子に会ったことがなかった。入籍から二十日ほど過ぎて、両親は光子とその娘に会うことになった。
電話口での話し方などから、勝気な印象をそれまで持っていた両親だったが、目の前の光子はむしろ穏やかで気立ての良さを感じさせた。
それに加え、とても30代半ばとは思えないほど若く見えて、少しずつ両親の拒否感は薄らいでいた。
なにより、かわいらしい盛りの一人娘は、いくら血が繋がっていないとはいえ、まだ孫がいなかった両親にとっては愛おしく思えた。
心配していた母親も、光子たちのために手料理をふるまい、それまでのぎこちなかった距離を近づけようとしていた。