🔓「お父さん」を惨殺した中国人留学生の罪と罰~大分・恩人殺害事件~

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【お願い】
この事件は、中国籍、韓国、朝鮮籍の留学生らによる許されざる事件です。
しかしながら、この事件をもってすべての中国籍、韓国朝鮮籍の人が悪であるはずはありません。欧米人でも日本人でもアホは山ほどいます。
私はこの記事を、そのような特定の政治思想、人種差別を是とする方々に利用されたくありません。
万が一、そのようなSNSやまとめサイト、個人のブログ、掲示板などにこの記事のリンク、または引用があったとしても、私の本意ではありませんし、そういう考えの人はこの事件の犯人と同じくらい、浅はかです。

2002年1月18日未明

大分県杵築市山香町。
山間の畑が広がるのどかな集落で、高齢の夫婦が殺傷されるおぞましい事件が起きた。
殺害されたのは、建設会社を営む吉野諭さん(当時73歳)。背後から腰を一突きにされ、その刃先は腹部を貫通するほど深く差し込まれていた。
2階で寝ていた妻・恵美子さんは、一命をとりとめたものの、腹部を二か所刺され重傷であった。

娘の雅美さんは、父の死を病室の母親に告げることが出来ずにいた。
しかし、いつもまでも隠せるものでもないし、捜査上のこともあって伝える決心をする。
覚悟していたのか、夫の非業の死を知らされた妻・恵美子さんは、取り乱すこともなく、力なく頷いたという。

一片の落ち度も、ましてや他人から恨みを買うこともなかったこの夫婦に刃を向けたのは誰か。
犯人が逮捕された時、吉野家はさらに深い悲しみに打ちのめされることになる。

「お父さん」と慕われた人

吉野さんは建設会社を経営する傍ら、篤志家としても知られる人物で、特に、自身が戦前に中国で暮らした際に世話になったことを忘れず、日中友好に尽力していた。
その活動の一環として、中国人留学生への支援を行っており、自らが身元引受人となり、生活の世話から経済的な面倒まで、まるで親のように留学生たちを温かく見守ってきた。
その活動は中国からも高く評価され、吉林市で初となる外国人市民栄誉賞も贈られているほどだ。
吉野さんが日中友好に尽力していたのには、深い理由があった。
昭和18年、15歳だった吉野さんは中国吉林市へ渡る。電気技術を学びながら終戦を迎えると、1年近く捕虜生活を強いられたという。
飢えに苦しむ吉野さんら日本人捕虜に対し、こっそり食べ物を与えてくれたのは地元・吉林市の一般市民であった。時には衣類も差し入れてくれた。
吉野さんはその時の恩を忘れることが出来ず、日本での生活が安定した頃、中国残留孤児の身元引受人となった。
それをきっかけに、中国と日本の架け橋となり、何度も中国へ足を運んでは現地の経済政策をアドバイスしたり、日本語学校に携わるなど交流を深めることとなったのだ。

吉野さんの葬儀では、吉野さんの世話で中国から留学してきた女子学生が涙ながらにお別れの言葉を述べた。
「私たちはお父さんを喪った」

誰もが吉野さんを慕い、同時に最も尊敬する「お父さん」を喪った留学生たちにも同情が寄せられた。
彼らは留学の世話にとどまらず、吉野さんから野菜などの食材、生活に必要なものなどを分け隔てなく面倒を見てもらっており、その誰もが心から感謝していた。

しかし、その裏で、この吉野夫妻を惨劇へと巻き込んだ張本人が、実はこの告別式に参列した留学生の中にいたのだ。

犯人と動機

犯人は現場の状況から複数犯と見られた。また、吉野さん宅を狙い撃ちしていることに間違いはなく、吉野さん宅の事情に詳しいものが関係しているとみられた。
そこで浮かんだのが、吉野さんが身元引受人となっていた中国人留学生・安逢春(当時23歳)と、その友人の韓国籍の金玟秀(当時27歳)だった。その後、別府大学への身元引受を行った張越(当時26歳)が捜査線上に浮かんだ。

安は犯行当時も別府大学国文科に籍を置いており、日本語の他に韓国語も話せる優秀な学生であった。吉野さんも安をかわいがっており、一時期自身の会社でアルバイトもさせていたほどだった。
しかしこれが仇となった。
安は、勉学に励む優秀な学生という以外に、中国人女性と偽装結婚をした過去を持っており、吉野さんが思うほどの真面目な留学生とは言えなかった。
そして、この安が吉野さんの会社でアルバイトをした経験が、後の強盗殺人を呼び込んでしまうのだ。

一方、張はというと、吉野さんが「どうしても」と頼まれて引き受けた留学生だったという。
他の留学生が日々の生活もつつましく送る中で、張は来日した時点で100万円以上の大金を持っていた。そして、それを遊興費に使い、2001年10月に出席が足りず退学処分を受けている。
この張が、後に「日本人から大金を奪う方法を教えてもらった」などと得意げに留学生仲間に吹聴していたことから事件への関与が疑われた。
そして、事件から20日後、韓国籍の金、安と同じく中国人留学生であった19歳の少年が逮捕されたが、主犯格の張越と、朴哲(当時24歳)はすでに中国へ出国した後であり、国際指名手配となった。

5人は、張、朴の主導により強盗計画を練った。そもそも19歳の少年が朴に対して金を貸しており、その返済を前々から迫っていた背景があった。
また、朴自身も交際女性を妊娠させてしまい、堕胎費用を工面したいと考えていた。安らも、偽装結婚で金が要ることや、アルバイトに汗を流すことに嫌気がさした面もあり、当初は軽い気持ちで強盗計画を聞いていたようだ。
「どこかに金持ちはいないか?」
そう聞かれた安は、吉野さん宅を教えたのだった。張は、自身も世話になったはずの吉野さんの名前が出ても、それを止めることもしなかった。

朴も他の犯人と同様、別府大学の留学生であったが、2001年12月に退学している。19歳の少年も、同じ年の10月に退学となっていた。
(それにしてもこの別府大学というのはどういうところなのだろう。積極的な留学生受け入れをしているように見えるにもかかわらず、これだけの退学者を出すのは珍しくないんだろうか。)
そして、この国際指名手配となった朴と、19歳の少年は、吉野さん方を襲撃するわずか3週間ほど前、大阪で35歳の女性を強盗目的で殺害していた。

大阪事件

2001年12月26日16時30分。
大阪市北区のホテルで、派遣型風俗店従業員の女性(当時35歳)が刃物でめった刺しにされて殺害されているのが発見された。
女性はクラフトテープで両手足を縛られ、その上で心臓、首などを十数回刺され、心・肺刺創による失血死であった。
その後の調べで、女性は2枚のキャッシュカードを抜き取られており、強盗目的で呼び出されたのち、殺害されたとみられている。

この事件を起こしたのが、ほかでもない吉野さん宅を襲った19歳の少年と、朴であった。
19歳の少年は、2001年10月に別府大学を退学後、東京の専門学校へ通うために都内の知人宅へ転居した。
11月ころ、中国の母親から学費として50万円の送金を受けながら、そのうちの12万円を朴に貸し付けている。さらに、知人らへの借金返済や、遊興費にその残金を費やしてしまう。
専門学校への学費振り込み期限が迫る中、19歳の少年は同居していた知人に50万円を借り、41万円を専門学校へ振り込んだ。
しかし、母親からの送金は期待できず、またこれ以上知人からの借金も出来ず、さらには在留資格の問題でアルバイトも出来なかったために金に窮することとなった。
切羽詰まった少年は、以前朴に貸していた12万円を返済してもらおうと、しつこく朴に電話している。
そこで朴から持ちかけられたのが、女性を狙った強盗であった。
19歳の少年は、強盗してお金が手に入れば、朴から金を返してもらえると思い、その計画に乗った。
場所は大阪と決め、12月24日、朴が大分から、少年は東京からそれぞれ大阪へと向かう。その際、朴は凶器となる棒やナイフを所持していた。
当初は、ひとり歩きの女性を襲う予定であったが、思いのほか難航。24日と25日はまったく計画通りにことが運ばず、2人はビジネスホテルに泊まった。
そして、風俗嬢を呼び出して金を奪うことを思いつき、通りで何枚かの風俗店のビラを入手する。
26日の午前1時ころ、ある風俗嬢をSEX目的で呼び出すも、若すぎるとしてチェンジ。しかしその後、別の風俗嬢が来ることはなかった。

翌朝、2人は別のホテルへ向かい、その道中、犯行に使用するクラフトテープや防止、ペティナイフを購入し、午後3時ころ19歳の少年のみがホテルにチェックインした。
遅れて朴が部屋を訪れ、道具を手渡した後「キャッシュカードの暗証番号を聞き出した後は、売春婦は殺さないと面倒だから、殺して逃げろ。自分も別の部屋で同じように女から金を奪う」と告げ、少年はこれを了承。
朴も、別の部屋で同じことをするからと少年に言い、これは二人の犯行だと思い込ませた。

午後4時30分ごろ、呼び出したA子さん(35歳)がシャワーを浴びているところを襲い、縛り上げたうえでキャッシュカードを強奪した。
逃げようとした際、A子さんが声をあげたことで我に返った少年は、やはり殺さなければと思い、所持していたナイフで刺殺した。

A子さんに刺し込まれたナイフは、その刃が根元から折れ曲がるほどの力で何度も刺し込まれており、相当な殺意が見てとれる。
少年は冷静にドアノブの指紋を拭き、その場から逃走した。
結局、少年は現金を引き出せず、キャッシュカードを朴に渡した後、ナイフを捨て、再び東京へと戻った。

そして、再び強盗をはたらくために、今度は大分へと向かうのである。
しかしこの時、朴は別の部屋でなにもしていなかったのだ。

【有料部分 目次】
お気楽な強盗団
最終計画
誤算
裁判と判決
再びの悲劇
安逢春の罪と罰

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🔓22歳元自衛官が見誤った故郷の誇り~宮崎家族3人殺害事件②~

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【有料部分目次】
貴子さんとくみ子さんの過ち
「あんたの両親はなんもしてくれん」
ひとり歩きし始めた被害者遺族像
語られない真実
奥本の過ち

🔓強制退去で娘を殺した母親にあえて言いたい「ふざけるな」~銚子市母子家庭娘殺害事件~

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平成26年9月24日

その日、千葉県銚子市の県営団地において強制退去が行われる予定であった。
対象は、その団地に7年前から入居している松谷美花(当時43歳)とその娘・可澄さん(当時13歳)が暮らす一室で、この部屋は長きにわたって月額12800円の賃料が延滞、あるいは滞納されていた。
この時点でも、最終支払いは前年の4月。それでも滞納額は10万2400円となっていた。
強制執行についての段取り、日時などは、入居者である美花には事前に知らせてはあったが、ここ数日は松谷親子とは連絡が取れていなかった。

鍵を開け、室内に入ると人の気配がある。
テレビの前に敷かれた布団に、娘がうつぶせに寝ていた。そしてその傍らで、呆けたような表情の美花が、テレビ画面を指さし、「これ、うちの子なの」などと言った。
その時点で、室内に入った執行官や業者らは娘が寝ているのではなく、死んでいるということに気づく。

美花は、テレビに映る鉢巻き姿の娘を指さし、
「頭に巻いてる鉢巻きで首を締めちゃった」
と言った。

事件にいたる経緯

その豊里団地に母娘が越してきたのは平成19年11月であった。
可愛らしい小学生の娘と、細身な母親の姿は、いつも一緒で仲の良いごく普通の母娘に見られていた。
美花は、団地に入居したとほぼ同時期に、給食センターでのパートを始めた。
時給は850円。
週に5日の勤務で、月収はおよそ10万ほど。
少なかったが、とりあえず仕事があるだけで安堵していた。それに、娘の児童扶養手当(月額換算で4万円)もあり、就学援助や給食費の免除もされていたため、母娘贅沢をしなければやっていけると考えていた。

「母子家庭だからと言って、娘に惨めな思いはさせたくない」
その、親として当たり前の気持ちを美花も持っていた。
娘には出来る限りのことをしてやろう、そう決めていた美花の普段の服装は、くたびれたTシャツにジーンズというものだったが、美花は気にしていなかった。

美花はバツイチであったが、元夫とは平成14年に離婚後も連絡を取り合い、養育費の支払いも順調ではないものの、あった。
この銚子に越してきたのも、元夫のアドバイスによるものだったし、母娘が暮らすこの団地にも、頻繁ではないが元夫も顔を見せた。

娘が成長するにつれ、女の子特有の「出費」がかさむようになる。
洋服、靴、アイドル関連の写真集やCDなどを、どこの子もそうであるように、娘も欲しがった。
また、平成23年の夏ごろには、テレビやブルーレイプレーヤーなども「どの家にもある」と考え、まとめて購入した。
翌年の冬、6年生になる娘の中学進学に備えて特別な自宅学習教材も購入した。塾に行かせる余裕はなかったが、かわりに自宅で学習できる環境をそろえてやりたかった。
さすがに出費が大きい時は、家賃を遅らせ、まとめて後で払うこともあった。

同じ頃、元夫が顔を見せなくなり、やがて養育費の支払いも止まった。

市役所で生活保護のことを聞いてみたが、給食センターの仕事を理由に「満額は出ない」と言われ、それならばと申請しなかった。
給食センターの仕事は、当然ながら学校が休みの時は仕事もない。
冬休みが明け、春休みが終わる頃には、家賃の滞納が4か月分になっていた。

平成24年の4月以降、家賃の支払いは常に遅れているのが常態化する。
督促状が来ると払う、自宅に徴収人がきたら払う、特に、仕事が長期の休みになる夏場は、滞納が6か月分になった。
翌平成25年。いよいよ娘が中学へ入学する準備が始まると、美花はさらに切羽詰ってしまった。
制服代や学校指定のバッグ、体操服などどうしても購入せざるを得ない学用品に支払う金がどうしても捻出できないと気づいたのだ。
そこで、社会福祉協議会から12万5000円の借り入れを行う。しかしまだ足りなかった。知り合いやママ友にもいくらか借りた。

そんな時、「すぐに貸してあげるよ」という金融屋がいた。そう、ご存知闇金である。

詳細は不明だが、当初7万円を手にしたという。しかし、最終的には5社から借り入れをし、各闇金に対して週に1万円ずつ(利息はトイチ)返してはまた借りるという状況であった。

平成25年の2月からは、闇金への支払いが増加しており、家賃に回す金は美花の頭にはなかった。
娘が中学に入ってすぐ、家賃滞納が9か月分に膨らみ、千葉県から明け渡し請求が行われ、その月の終わりには入居の取り消しが決まった。

4月になって、保険料未納で失効していた国民保険証を短期発行してもらうため、市役所を訪れた。
その際、窮状を察した窓口の職員から、生活保護の申請をすすめられる。
しかし、福祉課職員との意思疎通もうまくいかず、結局申請せずに帰宅してしまう。

その後2か月分の滞納家賃を支払ったのを最後に、家賃の支払いは行われていない。
7月には明け渡しと滞納家賃の支払いを求め、千葉県が提訴。しかし9月の裁判期日になんと美花は出廷しなかった。体調不良が原因で、その旨裁判所にも連絡したが、その後の手続きの説明の意味が分からず、結局何もしないでいたために弁明の機会も失われ美花は敗訴となる。

判決から半年後の平成26年5月。
千葉県は強制執行の通知を行った。美花は焦り、電話で明け渡しの猶予を求めたが、決まったことだと告げられる。
しかし、美花としてはまだ何とかなると思っていたようだ。
千葉県側の主張によれば、その電話の際に「8月には退去する」という話が出たため、強制執行の申し立ては8月半ばまで待たれた。
しかし、8月20日を過ぎても退去の気配はなく、連絡もないため、9月24日に執行する旨、自宅の壁に公示書を貼り、テーブルの上に催告書を置いた。
その後も美花から連絡はなく、9月24日を迎えることとなった。

沸き起こる行政批判

事件が発覚してすぐ、13歳の少女が犠牲になったということもあって、社会の注目を集めた。
過去にも貧困を苦にした一家心中などがあり、近年では生活保護をなるべく申請させないような役所の存在なども浮かび上がっており、今回のケースでも銚子市役所は槍玉に挙げられた。
同じく、団地を管理していた千葉県に対しても、母子を救う手立てがあったはずだと、その行政のあり方に多くの批判が集まった。
そもそも母親が娘を殺した事件であるのに、いつしか心中事件であるというような報道がなされていった。裁判には市や県の担当者も出廷し、弁護人から厳しく追及される場面も見られた。

2015年には、この事件を調査し、再発防止に役立てようと、「千葉県銚子市・県営住宅追い出し母子心中事件現地調査団」(なげぇよ)なる団体が結成され、その調査報告は「なぜ母親は娘に手をかけたのか」と題して書籍化された。

この調査書では、母子が銚子へ来る前の話から元夫との関係、家賃を滞納した理由、転がり落ちるように破滅の道をたどったその背景に焦点が当てられている。
大学教授や弁護士、県議会議員などがそれぞれの専門的立場からこの事件の背景、問題点などをまとめているのだが、なんとも違和感だらけ、なぜそこまでこの松谷美花という娘を殺した母に同情し、擁護しまくるのか、甚だ疑問だらけの調査報告書であった。

確かに県や市の対応というのは機械的で、言葉足らずな面、面接時の空気の読めなさ、1人1人に対する細やかなケアがなされなかった点は批判されてしかるべきであろう。
保険料を滞納していることから、生活保護申請をすすめ、福祉課では丹念な聞き取りと相手の心を読むかのように生活保護申請手続きを行う、そこまで求められているのだとしたら、福祉課の窓口にはメンタリストみたいな人を置くしかない。
また、公営住宅においては、酌むべき事情がある場合は特別な計算に基づき、家賃減免措置というものがある。
美花の場合、それの最大減免対象に該当するのだから(なぜか断言)、家賃は2000円台にまでさがり、美花が支払った家賃を換算すれば10か月以上の賃料に相当する、したがって、役所がしっかり見極めていればこのような事件は起こらなかったというものも、この事件でよく言われることの一つである。
ただ、健康で仕事が出来、母子家庭といえども子供は一人で、さほど酌むべき事情があるとは言えない美花が、減免のしかも最大減免に該当したかどうかは怪しいところだ。

そもそも、この事件の本質は行政の対応や法律にあるのではない。断じて、ないのだ。しかも、母子心中だの、追い出しだの、おおよそ事実とは違う言葉を使ってセンセーショナルに報じ、世間をミスリードするかたちをとっているのは問題だ。
それを、調査したお偉い方々は徹底的な見て見ぬふりを貫いている。
女手一つで必死に娘を育て、働き、それでも収入が足らず誰にも相談できず、行政にも見放された可哀そうな母子・・・
しかし実態はそうではない。結論から言おう、これは金もないのに見栄をはって、やるべきことから目を背け、都合の良い言い訳ばかりを並べた悲劇のヒロイン気取りの頭の悪い女の話だ。

【有料部分 目次】
美花のそれまで
貧困の本当の理由
勘違いの自己犠牲
貧困などとは無縁の「調査団」
貧困のリアリティ
あえて言いたい、ふざけるな。

差別と自死で煙に巻かれた本筋~奈良・月ヶ瀬女子中学生殺害事件~

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平成9年5月4日。
月ヶ瀬村の嵩集落にある自宅へと続く鬱蒼とした道路を、少女はひとり歩いていた。ついさきほど別れた友人の姿は、もう見えなくなっている。
自宅まではここから坂道を登っておよそ500m。鬱蒼とした村道ではあるが、幼いころから知っている慣れた道である。
顔見知りの商店のおばさんの車とすれ違う。この道を通るのはほとんど顔見知りの村の人ばかりだ。

背後から来た車が不意に停車し、運転手が声をかけてきた。
「乗っていくかい?」
充代さんは、顔を上げた…

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🔓差別と自死で煙に巻かれた本筋~奈良・月ヶ瀬女子中学生殺害事件②~

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高野嘉雄弁護士の存在

それに着目したのが、奈良弁護士会の高野嘉雄弁護士である。
殺人事件、少年犯罪などの刑事事件で弁護を重ね、裁判では情状面を非常に重視する弁護士としても知られる。
「弁護人は(被告にとって)最後の情状証人」であるとし、たとえどんな犯罪を犯した人間であっても、自身の感性を研ぎ澄ませ、全力でぶつかり弁護していくという、弁護士からも尊敬される大変優秀な弁護士である。
甲山事件、奈良の小一女児殺害事件などの有名な刑事事件を手掛けたほか、無銭飲食、窃盗などの比較的軽微な事件でもその精神は同じであった。

誠人の弁護には3人であたっており、弁護と言うよりも誠人の心をどうすれば開かせることが出来るのか、誠人の本当に言いたいこと、苦しかったことをきちんと世間に伝えたい、その上で、誠人に立ち直ってほしい、そういう思いをもってこの事件に臨まれたと推測する。

【有料記事 目次】
・与力・区入り制度
・浦久保家との関係
・家族をして「根源」と言わしめた母親
・放火疑惑と花瓶事件
・叱られることを知らずに育った男
・誠人が囚われた呪縛
・被害者遺族への中傷と「人の道」
・その後

ここからは有料記事です