まばゆすぎた隣の芝生~浦和市・社宅乳児殺害事件②~

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嫉妬

検察は、恵子を殺人未遂で起訴した。
当初、「死んでもいいと思って落とした」と話していた恵子だったが、ここへきて「傷害目的で、殺意はなかった」と殺意については否認していた。

検察官の取り調べに対し、恵子は美保ちゃんに行った加害行為について、
①右腕をひっ掻き、両太ももを数回つねった
②サッシ窓のアルミ枠に、美保ちゃんの左側側頭部をうちつけた
③真理子さんからミルクを手渡され、美保ちゃんにミルクを飲ませようとしたが飲まなかったため、哺乳瓶の乳首を無理やり美保ちゃんの口に押し込み、口の中に傷を負わせた
④恵子宅に真理子さん母娘を呼んだ際、真理子さんが席を立った隙に、高い高いをする要領で美保ちゃんを頭上にかかげ、そのまま回転するように170センチほどの高さから厚さ4センチのベビーマットに放り投げた
このように供述した。 続きを読む まばゆすぎた隣の芝生~浦和市・社宅乳児殺害事件②~

嘘八百男に振り出し続けた愛の約束手形~臼杵市・交際女性殺害事件①~

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平成13年7月21日午後3時半

大分市横田の県道沿いの緑地帯駐車場で、タクシー運転手はいつものように休憩をとっていた。
ふと、同じ駐車場内に停めてある車に目をやった。
「そう言えばあの車、もう何日もここに停まっちょるけど……。」
そこは、県道22号線沿いに広がる緑地帯に設けられたスペースで、トラックやタクシーの運転手が時折休憩のために車を停めることはあっても、周辺には家も店もないため長期間車が停められているのは不自然だった。

気になった運転手が、乗用車の中を覗いたところ、人が乗っている気配はなかったが、女性の持ち物らしきハンカチやブラシが落ちていた。
気になりながらも引き返そうとした時、後部座席にあった粘着テープが目に入った。
ふっ、と、運転手の心がざわついた。運転手が見たのは粘着テープだけではなかった。車内には、無数のハエが飛んでいたのだ。 続きを読む 嘘八百男に振り出し続けた愛の約束手形~臼杵市・交際女性殺害事件①~

嘘八百男に振り出し続けた愛の約束手形~臼杵市・交際女性殺害事件②~

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13通の偽造手形

由香さんに対して、絶対に銀行に回ることはないから安心しろなどと言っていた冨田は、その手形を受け取ったその日のうちに、手形割引業者に裏書譲渡した。
由香さんが勤務していた会社は特に経営に問題がなかったため、割引業者らも冨田からの依頼であっても拒否する理由がなかった。
もちろん、ここで偽造されたものではないのか、という疑いを持たれれば拒否される可能性はあったが、この時点ではその疑いを持つ余地はなく、また、冨田の「嘘」を全員が見抜けなかった。
この時冨田が得た現金は、4625741円だった。 続きを読む 嘘八百男に振り出し続けた愛の約束手形~臼杵市・交際女性殺害事件②~

🔓嘘八百男に振り出し続けた愛の約束手形~臼杵市・交際女性殺害事件③~

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振り払った救いの手

経営者の妻らに知られたことで、本来ならば由香さんの苦悩はここで終わるはずだった。
理解ある経営者の妻と息子は、由香さんが騙されてやったことであり、現時点では会社に損害も出ていないことから、由香さんを今後監督していくことで不問に付した。
それはもちろん、由香さんが洗いざらい話してくれたと思ってのことであり、心労をかける必要はないとして由香さんの両親にも何も言わないことにしたのだ。

しかし、由香さんはすべてを話してはいなかった。

【有料部分目次】
5月末
愛の言葉と罵詈雑言
猿芝居
起訴
死人に口なし
心中を慫慂したか否か
悲壮な決意
破棄自判、懲役14年
果たされた思い

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難病の息子に手をかけた老母の「限界」~塩釜市・息子殺害事件①~

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平成14年5月22日午後10時30分

「もうこんな時間……」
時計を見た母親は、いつものように息子の様子を見に部屋へと向かった。
狭い市営住宅の一室。それでも痛む足を庇いながらの歩行は、老齢の身に堪えた。

部屋を覗くと、息子はベッドの上にあおむけになっていた。
テレビはついていたが、息子はどうやら眠っているようだった。
「もう、今しかない」
母は決断した。

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