🔓殲滅の焔~陸前高田・一家心中事件~

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一本の電話

平成18年6月27日、陸前高田市役所に電話があった。
匿名のその電話は女性で、「家庭内にトラブルがある。相談できないだろうか。」という内容だった。
市役所の職員は人権擁護委員を紹介し、実際にその委員が匿名の電話の主と面談。内容は違法性があるものだったようで、大船渡署に伝えられた。

「何かあったら連絡します。」

大船渡署から確認の電話を受けた相談者は、詳しい内容は話さずにそう言って電話を切った。大船渡署も現時点で相談者が介入を望んでいない以上やれるべきことがないと判断し、経過を見守ることで対応を終了した。

その2日後の6月29日未明。
陸前高田の住宅から火の手が上がった。

4人死亡の住宅火災

平成18年6月29日未明、陸前高田市気仙町の住宅から出火、約3時間後に鎮火したものの、木造平屋建ての住宅126平方メートルが全焼。
焼け跡からは3人の遺体が発見された。

火が出たのは、左官業を営む熊野正博さん(仮名/当時56歳)方。正博さんは仕事で関東にいたため難を逃れたが、この家には当時正博さんの妻・瑞穂さん(仮名/当時49歳)、長男・邦彦さん(仮名/当時26歳)、二男・友信さん(仮名/当時23歳)、三男・誠さん(仮名/当時19歳)、長女・泉さん(仮名/当時13歳)、正博さんの母親(当時84歳)の計6人がいた。

邦彦さんは逃げ出して軽いやけどで済み、年老いた正博さんの母親は別棟にいて無事だった。誠さんも救出されたが大やけどを負って意識不明となった。
邦彦さんは調べに対し、「家族間でトラブルがあって、みんなで死のうと、三男の誠が油をまいて火をつけた」と話していた。
搬送時に意識があった誠さんも、救急隊員の「火をつけたのか」という質問に対し、頷いていたという。

誠さんはその後、病院で死亡した。

焼け跡から発見された3人の遺体は、和室にあった。長男の話から、遺体は瑞穂さん、友信さん、泉さんの3人と見られ、その後断定された。

近隣の人らは衝撃を受けていた。3世代の大家族で、子供たちも両親も皆仲が良さそうに見えていたからだ。歳の離れた妹の泉さんも、学校では野球の試合のアナウンスを担当するなど充実した生活を送っていた。

ただ、気になる話はあるにはあった。

火を放ったとされる三男の誠さんは、高校を卒業後一旦は木材工場などで勤務していたというが、4ヶ月ほどで退職。その後は仕事を探してはいるようだったが、無職の状態だった。
無職であっても、庭の草刈りをしたり、特に何か問題を抱えているという様子はなかったと近所の人らは口を揃えた。
母親の瑞穂さんも、道で会えば明るく気さくに話をする人柄で、近所で孤立しているとか、夫婦仲が悪いと言った話もなかった。
市内の別の場所で暮らす実母を気遣い、よく世話をしに通っていたといい、その実母も家族仲が悪いという話はなかったと話した。
ただ、誠さんを含む子供たちの就職のことで悩んでいるといった話はあったようだ。

あの夜、一体何があったのか。

唯一助かった邦彦さんによれば、和室で家族会議をしていた際、誰からともなく「もう、死のう」という話になったのだという。
そして、三男の誠さんが灯油のポリタンクを持ち込み、灯油を自らかぶり床にも撒き散らした後、火を放ったのだと証言した。
火は瞬く間に和室に燃え広がり、誠さんと友信さんと瑞穂さん、そして泉さんを飲み込んだ。邦彦さんも当初は一緒に死ぬつもりだったというが、咄嗟に恐怖心で窓を割って外へ出て助かったのだ。

現場で遺体となって発見された友信さん、瑞穂さん、泉さんには目立った外傷はなかったが、それぞれの体からも灯油の成分が出ていたこと、邦彦さんの証言などから、警察では高齢の祖母と出稼ぎ中の父親を除く家族5人が一家心中を試みたとした。

しかしこの一家を心中に駆り立てたのは一体なんだったのか。

【有料部分 目次】
 玄関先の遺書
 長男の事情
 取り立て
 裁判
 焔の正体

禁断の死出の旅路~福島・男女服毒心中事件~

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昭和62年10月29日朝 路上にて

「あんた!こんなとこに停めて邪魔やろ、あんた運転できんのか?」

愛知県西春日井郡西春町のニット製品会社の車庫前に、一台の赤い軽四自動車が停まっていた。
同社の社員が気付き、見慣れない車であること、車庫の前で邪魔なことから、運転席の女性に声をかけた。
すると、その若い女性は血色の悪い顔でこうつぶやいたという。
「ここまで来たけど、もう動けなくなっちゃった。」
わけのわからないことを言われた社員はイラつきながら、ふと車内を覗くと助手席に中年男性がいるのに気が付いた。そこで冒頭のように、その中年男性に声をかけたのだ。

男性はリクライニングを倒し、眠っているように見えたが、社員はその男性の胸の上で組まれた手を見てハッとした。
男性の手はぶるぶると小刻みに震えていたのだ。さらに、眠っていたと思った男性の目は、白目を剥いていた。
ただごとではない、そう感じた瞬間、今度は運転席の女性が口から白い泡が涎のように垂れてきた。慌てて119番通報したものの、搬送先の病院でこの男女は死亡が確認された。

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怨焔~大胡町・不倫仲裁逆恨み隣人焼殺事件

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平成8年5月2日

群馬県勢多郡大胡町。
とある民家のガレージから火の手が上がった。
隣人らの通報で消防と警察が駆け付けたが、ガレージでその家に暮らす女性と思われる焼死体が発見された。

その数時間後、赤城山の大沼近くの旅館から、沼に車が突っ込んだ、という通報も入った。
しかも、「人を殺したと言っている」とのこと。
赤城大沼に突っ込んだ車は白の乗用車で、大胡町の現場から急発進して逃走した車も、白の乗用車だった。

捜査の結果、一命をとりとめた白い乗用車の運転手の男が、元交際相手だった大胡町の女性にガソリンをかけて焼き殺したと判明。
男の回復を待って、5年後の平成13年月に逮捕となった。

この事件、地元の人らの間では忌まわしいある過去の事件を思い起こさずにはいられなかった。

昭和の終わり、この事件と同じような事件がこの大胡町で起きていたのだ。

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特集:🔥4つの家族の事件簿🔪

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家族とは。

読者の皆さんは、どんな家族を持っていますか。
幼い頃から不遇な生活を送り、お世辞にも恵まれていたとは言えないけれど、精神的には家族のことが好きだという人、一方で経済的な問題はなくとも、寒々とした家庭しか知らずに来たという人、その両方を良くも悪くも兼ね備えた人。

私は今でこそ家族とのつながりは良好ですが、幼い頃を母親となった今振り返ると、経済的には非常に恵まれていましたが私の両親は毒親であったと言えます。

後期高齢者に差し掛かった両親は、今ではそれを悔いているところもあるようですが。

しかし事件が起こる過程というのは、すべてがそのように膿を抱えている家庭ばかりとも限りません、ある意味、健康であったはずの家庭のほうが、耐性がないというのか、崩れるときはあっという間、ということも。
良き母親が、良き父親が、何かのきっかけで子を道連れにしてしまう、あるいは、家族を思うがあまりに暴走してしまう、そういったケースは少なくありません。

家族のうちの誰かの心の闇が、ほかの家族を巻き込むケース、そこには思い込みや親子一体、言ってしまえば自分勝手な動機が介在していることもあります。
しかしもうその時は、それしかないと思い込んでしまっていることから、未然に防げない、他の家族の誰も気付けない、そんなことが重なって悲劇が起こるということが多いように思われます。

今回は、事件そのものは小さな扱いのものでも、その背景が特殊なケースを集めました。

思い込み~江東区・二児殺害事件~
親でもなければ子でもない~杉並・一家4人殺害放火事件~
堪忍してね、母さんもすぐ逝くから~文京区・母子無理心中事件~
誤算~赤穂・祖父母殺害事件~

願いを叶えて~日田市・妻義母殺害事件~

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法廷にて

「一番苦しんだのは父だと思います。私は父を恨むどころか、『お父さんごめんね』という気持ちでいっぱいです」

大分地方裁判所の法廷には、女性のすすり泣く声が響いていた。その言葉に、被告人席の初老の男は、ただただ涙を流すだけだった。

男の罪は、妻と義母(妻の母)を殺害するという、非常に重大なものだったが、彼のために減刑を求める嘆願書が1300人分も集められていた。

男が犯した罪と、その背景とは。そこには、やりきれない事実が隠されていた。

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