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高野嘉雄弁護士の存在
それに着目したのが、奈良弁護士会の高野嘉雄弁護士である。
殺人事件、少年犯罪などの刑事事件で弁護を重ね、裁判では情状面を非常に重視する弁護士としても知られる。
「弁護人は(被告にとって)最後の情状証人」であるとし、たとえどんな犯罪を犯した人間であっても、自身の感性を研ぎ澄ませ、全力でぶつかり弁護していくという、弁護士からも尊敬される大変優秀な弁護士である。
甲山事件、奈良の小一女児殺害事件などの有名な刑事事件を手掛けたほか、無銭飲食、窃盗などの比較的軽微な事件でもその精神は同じであった。
誠人の弁護には3人であたっており、弁護と言うよりも誠人の心をどうすれば開かせることが出来るのか、誠人の本当に言いたいこと、苦しかったことをきちんと世間に伝えたい、その上で、誠人に立ち直ってほしい、そういう思いをもってこの事件に臨まれたと推測する。
【有料記事 目次】
・与力・区入り制度
・浦久保家との関係
・家族をして「根源」と言わしめた母親
・放火疑惑と花瓶事件
・叱られることを知らずに育った男
・誠人が囚われた呪縛
・被害者遺族への中傷と「人の道」
・その後