嗤う男の化けの皮~藤沢市・OL放火殺人事件④~

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汚名

「娘さんのことで話がありますので連絡をください」
父の会社に藤沢北署から連絡がきたのは、14日の午後3時ころだった。
外に出ていた父親は、そのメモを見て胸騒ぎをおさえつつ急いで電話を掛けた。そして、最愛の娘が死亡したことを知った。

母親が娘の死を知ったのはさらに後になる。携帯電話が普及していなかった時代、社員旅行で夕方藤沢に戻った母は、駅に迎えに来ると言っていたはずの娘と連絡が取れず、結局一人で家に帰った。しかし家には誰もおらず、どうしたのかと思っていたところへ、娘の死が知らされたのだ。 続きを読む 嗤う男の化けの皮~藤沢市・OL放火殺人事件④~

嗤う男の化けの皮~藤沢市・OL放火殺人事件⑤~

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いけしゃあしゃあ

美穂さんの父は、美穂さんが埋葬されて以降、毎日欠かさず花を持って美穂さんの墓へ行き、そこで語り掛けたり本を読むなどして美穂さんと過ごしてきた。

民事裁判を起こした後の平成10年、一度美穂さんの眠る墓地で父は佐々木と行き会ったという。
父の横を素通りした佐々木は、美穂さんの墓にぺこっと軽く頭を下げた。
父は心を鎮め、佐々木に向き合ってこう伝えた。
「何が起きたのかを知りたい。だからあなたを訴えました。」
すると佐々木は、
「真実を話しているつもりですけどね。(地裁の民事裁判で自分が敗訴したとしても)高裁も最高裁もありますから。」
と事も無げに言い放った。
不安な自分を強がっているようにも思えるし、諦めようとしない両親に対し、侮蔑的な意味でのまぁせいぜい頑張れよ、という風にも聞こえる。
ただ、墓地で佐々木と対峙した父親は、
「彼はもしかしたら、美穂に許しを請いに来たのかもしれない」
と複雑な、そして佐々木の人間の心に一縷の望みを託していた。 続きを読む 嗤う男の化けの皮~藤沢市・OL放火殺人事件⑤~

嗤う男の化けの皮~藤沢市・OL放火殺人事件⑥~

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月日の流れ

事件が起こった当初は、この事件はそれほど大きく報道はされなかった。当時の新聞などを見ても、比較的小さな扱いにとどまっている。
先にも述べたように、あくまで若い男女の無理心中といった論調で、佐々木の証言に沿ったものだった。
しかし、民事で有罪認定がされたことで報道される機会も増えていく。美穂さんの両親からすれば事件の風化を防ぐ意味合いでは喜ばしいことだったが、同時に世間の批判にもさらされた。 続きを読む 嗤う男の化けの皮~藤沢市・OL放火殺人事件⑥~

🔓淋しくて淋しくて~仙台・同僚女性殺害事件~

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平成19年6月15日午後8時

その夜、男性は仙台市若林区のとある有料駐車場に停めてある一台の軽自動車の前で立ち尽くしていた。
その車は、男性と5月に入籍したばかりの妻のものだったが、実はその妻とは、前日の夜から連絡が取れていなかった。
男性は会社を休んで妻を捜していたところ、夕方になって仙台南署から「大和町の契約駐車場に、お宅の車が勝手に停められている」と知らされ、急いで現場にやってきたのだった。

車はフルスモーク仕様だったため、外から中の様子は全く覗えず、さらに合い鍵は妻の母親が持っていたことから、男性は妻の母親に連絡し、到着を待っているところだった。

午後8時過ぎ、駆け付けた妻の母親と姉が車のロックを解除しドアを開けると、前の座席のシートが後ろに倒され、中には誰も乗っていなかった、ように見えた。

後部座席を確認した瞬間、母親と姉の悲鳴が上がる。男性はその場で腰を抜かした。
後部座席の陰に、妻がいた。その姿は激しく顔面を損傷し、さらには全裸であった。

事件概要

平成19年6月15日夜、仙台市若林区の契約駐車場内で、宮城野区蒲生東屋敷添在住の会社員、近江由希子さん(当時27歳)が、顔面から血を流して死亡しているのが発見された。
近江さんは14日夜、勤務先である大和町のスーパーつかさ屋大和町店を午後10時ころに退社。
しかし自宅に戻っておらず、同じスーパーの系列店に勤務する夫の貴信さん(仮名/当時31歳)が携帯電話に連絡するも、圏外だったという。
その後、15日の朝になって、由希子さんが勤務するスーパーから300mしか離れていない契約駐車場に、由希子さんの車が無断駐車されていたことから管理者が仙台南署に通報、午後6時半ごろ警察から貴信さんに連絡が入った。

由希子さんは発見当時全裸で、着ていたとみられる洋服や靴、食料品が入った勤務先のスーパーのレジ袋は車内にあったが、鍵と携帯電話、財布がなくなっていたことが分かった。

司法解剖の結果、由希子さんは顔面等を激しく殴られてはいたが、死因は窒息死であった。口と鼻を押さえつけられたような跡や、首に絞められたような跡もあったという。

由希子さんは普段、7キロほど離れた自宅アパートから車で通勤しており、スーパーの社員用駐車場に車を停めていた。したがって、この日も一旦は自分の車でスーパーを出ていると思われたが、近くの道路に設置されているNシステムには車が写っていなかったことから、勤務先から比較的近い場所で殺害され、すぐさま発見現場の駐車場に車ごと遺棄されたとみられた。
車は15日の午前4時半にはすでに現場の駐車場に停められているのを管理会社が確認している。

また、由希子さんの脱がされた着衣には一部泥が付着していた。ジーンズと下着が濡れていたことからも、当初は屋外で暴行され、その後車に乗せられたとみられていた。
発見時は後部座席にあおむけの状態だったが、助手席にも暴行後に一旦乗せられた形跡があったという。
しかし、その後の捜査で、由希子さんは最初から助手席に座っており、そこで運転席に座っていた人物に暴行を受けたとわかった。
さらに、由希子さんが抵抗したような様子がなかったことから、顔見知りの人物にいきなり襲い掛かられたとの見方が強まった。
助手席に残されていた由希子さんのカバンの中には、現金数万円が見つかっており、強盗などの犯行ではないというのも、「顔見知り」かつ「金以外の目的」での犯行と推察される根拠となった。

脱がされた衣類は、殺害後にわざと脱がせたとみられ、性的暴行の所見もなかったことから、犯人が偽装目的で服を脱がせた疑いも強まった。

6月19日、宮城野区内で執り行われた告別式では、貴信さんが涙ながらに「由希子を守ってやれなかった」と述べた。

しかし、捜査はその後なかなか進展を見せなかった。
犯人逮捕の一報が流れたのは、事件から3か月ほど経過した頃だった。

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【有料部分目次】
犯人逮捕
略奪愛
不可解な女
女尊男卑の家系
丸出しの嫉妬心
別れた女からの説教
事件の夜
勘違いの自己評価
裁判
真紀の心

🔓謎の一家失踪と蔓延るうわさ~世羅町・一家失踪事件~

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平成一三年六月四日

「なんで来とらんの。家に行っても誰もおらんってどういうこと?」

その採石会社では、社員旅行で中国の大連に向かうことになっていた。
しかし、集合時間を過ぎても、一人の女性社員が現れなかったのだ。同僚らが自宅を訪れたが、その女性もその家族も、誰一人として家にはいなかった。

「鍵もかかっとるし、どうしたんじゃろ……」

とりあえず連絡をつけられる親類に事情を話すと、なんと女性の夫も無断欠勤をしていることが分かった。さらに、家にいるはずの男性の母親も見当たらない。玄関にはしっかりと鍵がかけられ、呼びかけにも中から返答はない。
「車が一台ないけぇ、どっかに出かけたんじゃろうか」
その家には、乗用車と軽トラがあったが、乗用車がなくなっていた。そのかわりに、一人娘のものと思われる車が止まっていた。

連絡を受けた女性の弟が、はしごをかけて家の二階にあがった。一か所、鍵のかかっていない窓があったため、そこから家の中へ入ると、そこにはごく普通の、ありふれた生活の匂いが残っていた。

忽然と消えた家族

平成一三年六月四日午後五時半。
親族らは甲山署に捜索願を出す。いなくなったのは世羅町戸張在住の山上政弘さん(当時五八歳)、その妻・順子さん(当時五一歳)、政弘さんの母・三枝さん(当時七九歳)。
しかし、いなくなったのはこの三人だけではなかった。

「六月二日の土曜日、娘さんが家におったよ」

実は二日の夕方、牛乳を届けに訪れた隣家の主婦が、山上さんの一人娘で、竹原市内で小学校教諭をしている千枝さん(当時二六歳)が戸張の実家へ帰っていたと話した。
実は両親の行方を捜すために当然娘の千枝さんにも連絡がいったが、連絡が取れていなかった。
それもそのはずで、千枝さんの車は敷地内に停められており、実家の離れの二階の部屋に、千枝さんの私物と思われるバッグ、携帯、財布などが残されていたのだ。

家の中は特に荒らされた形跡もなく、窓やドアがこじ開けられた、あるいは、室内で争ったり物色したような形跡も見当たらなかった。

山上家は昔ながらの大きな家で、母屋と隣接する形で二階建ての離れがあった。母屋と離れの間は屋根付きの駐車スペースとして利用され、庭から出入り出来るようになっている。
食事や入浴などは母屋で行い、政弘さん夫婦と千枝さんの寝室が離れの二階にしつらえてあるという、田舎の農家にはよくある作りだった。
離れの2階には、翌日から旅行に出かける予定だった順子さんのものと思われる旅行かばん、奥の夫婦の寝室には、千枝さんの着替えと思われる洋服が畳まれており、テーブルには食した後のみかんの皮がお皿の上に残っていた。
なにごとも変わったところのない、むしろ整然と片づけられた中に日常の生活の匂いが残る、人が暮らしている普通の家の様子だった。

その部屋には千枝さんの私物も残され、財布や携帯電話もそこにあった。
親族らは一階へと下り、庭に面した扉を開けた。そこも、鍵はかかっていたという。ただ、その鍵は外からボタンを押すことでかけることが出来るタイプのものだったようだ。
離れから出て母屋に通じる勝手口に手をかけると、その扉には鍵がかかっていなかった。まずは政弘さんの母、三枝さんのことが気にかかり、三枝さんが使用している奥の部屋へと向かう。
三枝さんはベッドを使用していたが、そのベッドは、今さっきまで三枝さんがそこにいたかのような、人のかたちに盛り上がった布団があったが、中に三枝さんの姿はなかった。

その後、再び母屋の居間へ戻ると、そこには三枝さんが着用している農作業着が今から着るためだったのか、広げてあり、ふと横を見ると台所の豆球がついていた。
そして、シンクの作業スペースには卵と刻んだネギがお椀に入れられた状態で置いてあったという。テーブルには、翌朝食べる予定だったのか、蠅帳がかけられた状態でいくつかのおかずも置かれていた。

状況から察するに、朝食を食べるより前に山上さん一家はなんらかの理由で家を出なければならなかったと見られた。

「あれ、犬がおらん」

山上さん宅には、「レオ」という名前のシーズー犬がいた。しかし、家族と共にそのレオの姿も見えない。
犬を連れて深夜か早朝にどこへ行くというのか……
ふと、親族の一人が風呂場の脱衣所に洗濯されていない衣服があるのを見つけた。
調べると、政弘さんと順子さん、そして三枝さんのものとみられる衣類が残されていた。千絵さんのものらしき衣類はなかった。
そういえば、離れの寝室には千枝さんの衣類が畳んでおかれていたはず。
推測するに、千枝さん以外の3人は前日夜に入浴を済ませていたと思われた。
しかし、さらにおかしな点が浮かび上がった。
前日に来ていた服がここにあるということは、洗濯は行われていないはず。にもかかわらず、3人が着用していたであろう寝巻が家の中のどこにも見当たらなかったのだ。

ということは。
家族全員が、深夜から早朝の間に寝間着姿で車で出かけたというのか。しかも犬を連れて。

家族はどこへ行ってしまったのか。自発的に出かけたのか、それともなにかよからぬ事件に巻き込まれたのか……
この時点では全くわからずにいた。

前日までの家族の行動

戸張地区は、現在だと尾道から尾道自動車道を経由するが当時は開通しておらず、国道一八四号線をひたすら北上して車で五〇分程度で到着する山間の地区だ。
国道一八四号線沿いではあるものの、山上家周辺の家は戸張川の西側に多く存在しており、東側に位置していた山上家の周囲は、隣家と砕石工場があるだけでほとんどは畑である。
隣に家はあるものの、その家の一家は五年ほど前から住んでいたといい、山上さん一家とは比較的新しい付き合いだったという。

失踪の二日前の六月二日。先述の通り、隣家の主婦が牛乳を届けるために山上家を訪れた際、娘の千枝さんが家にいた。
千枝さんは、竹原市の小学校で教諭をしており、普段は竹原市内のアパートで独り暮らしをしていた。
しかし、週末などの休みの前日には、特別な用事がない限り実家へ戻って過ごすのが常であったという。
千枝さんには交際相手がいたが、当時は県外で資格取得のために勉強中だった。そのため、週末も交際相手に会うより、実家で過ごすことも多かったのだ。

政弘さんも、六月三日の日曜夕方、自宅前の畑で作業をしているのを目撃されていた。母親の三枝さんも、夕方五時ころ近所の人と立ち話をしていた。
妻の順子さんについては、三日の様子は判明していないものの、こちらも四日から行く予定の中国旅行を楽しみにしていたという。二日の土曜日は、勤務先の砕石工場にいつも通り出勤していて、変わった様子はなかった。

千枝さんは、実は三日の日曜、勤務先の小学校で参観日があり出勤していた。
参観日の後、保護者らとの球技大会に参加し、その後の反省会にも出席、午後九時半ごろ、同僚を自分の車で送った後、世羅の実家へ戻っている。
千枝さんは実家への道中、携帯で交際相手に電話をし、その日あった出来事をいつものように話したという。その様子から、たとえばなにか重大な家族の問題や悩みは窺えなかった。
深夜近く、隣家の人が山上家に車が止まり、ドアが閉まる音を聞いている。おそらく、千枝さんが帰宅した際の音と思われた。
家族の足取りは、ここで途絶える。

警察は、捜索願が出された四日の夜から捜索を開始、地元警察のみならず、県警も捜査に加わり、警察犬も投入された。
四日間にわたってヘリも飛び、空と陸、両方からの捜索が行われている。
一家全員プラス犬までが失踪という異様な事態に、警察も通常の家出人捜索とは違う体制で臨んでいた。

山上さん宅から、山上さんの乗用車(白のスプリンター)がなくなっていたことなどから、Nシステムも調べられたが、それらから足取りは判明しなかったという。
田舎には幹線道路のほか、地元民しか知らないような抜け道もたくさんあることから、警察は事件と覚悟の家出の両面から捜査していたが、全くと言っていいほど有力な手掛かりはつかめなかった。
一方で、Nシステムなどに写っていない以上、そう遠くへ行けていない可能性もあり、捜索は山上家近辺のため池やダムなどに誤って転落した可能性、あるいは事件だったとしてそういった場所に沈められている可能性も否定できず、ありとあらゆる場所を捜索した。捜索には、地域の人らも参加していた。

時期は六月、雑草が生い茂るのは早い。しかし、この時期であれば、もしもダムやため池に車で転落したのであれば、絶対にわかる。
そう思って重点的に捜索がなされたが、車が進入した痕跡や、これは、と思うような痕跡は見当たらなかった。

捜査が進展を見せない中、順子さんの職場の人が情報提供を広く求めたいと手作りのチラシなども作成し、千枝さんの交際相手は連日、思いつく限りの場所を捜して回った。
千枝さんから、両親の思い出の場所として聞いていた京都など、車中泊をしながら捜した。
九州から東京、とにかく思いつく場所という場所を、夏中捜しまわったという。

しかし、平成一四年九月。事件は最悪の形で終焉を迎える。

【有料部分 目次】
発見
順子さんのうわさ
金銭トラブルとヒソヒソ
預貯金総額3000万円
一家心中説の謎
発見現場の謎
チラシ作成代金と相続の行方
様々なうわさ
「永久に見つからんと思うとった」