🔓小児性愛者~羽島市・小学2年女児殺害事件~

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父親は娘に必死の人工呼吸を続けた。生きて、何とか生きて帰って来てくれ。
両親の思いもむなしく、幼い娘は息を吹き返すことはなかった。

娘がいなくなってから36時間。

「なんでこんな……もっと早く返してよ!!!」

気丈にも娘の捜索に携わった人々へのお礼を伝えた父親だったが、その絶望と怒りと悲しみは絶叫となって響いた。

行方不明の女児

平成6年4月7日午後。岐阜県羽島市の福地海ちゃん(当時7歳)が、下校途中に忽然と姿を消した。
その日は4時からピアノのお稽古があり、いつもは学校から自宅に戻り、ランドセルを置いてお稽古へと出かけるはずが、この日は帰宅した様子も、お稽古へ出かけた様子もなかった。
両親は同級生や学校に問い合わせをしたが、海ちゃんの行方は分からず7日の夜7時過ぎに父親が小学校を通じて捜索願を出した。
しかし目撃情報はあやふやなものが多く、警察は誘拐などの可能性も視野に入れていたものの、海ちゃんの自宅に身代金の要求などの電話もないことから事故の可能性が高いとし、市の防災無線で呼びかける公開捜査を開始した。
報道各社に捜査協力の依頼があったのは、事件の翌日だった。

ところが4月9日、事件は突如動いた。
羽島市内の公園で、変わり果てた姿の海ちゃんが発見されたのだ。その後の司法解剖の結果、海ちゃんの胃の中にはその日の給食がほとんど消化されずに残存していたことから、行方不明になった日の夜もしくは翌日の未明に殺害されたと断定。
そうなると犯人は海ちゃんを拉致した後、さほど時間を置かずに殺害したことになる。この時点で、海ちゃんの自宅には誘拐をにおわせるような身代金要求の電話などはなく、なぜ海ちゃんが狙われたのか、そして何のために殺害されたのか全く分からなかった。
最近では未成年者、特に児童が被害者になる事件の場合はわいせつ目的がまず頭に浮かぶが、この時代は甲府信金の女性職員誘拐事件や北海道石狩の女子高生誘拐事件など、身代金目的の誘拐事件が起こっていたこともあり、捜査の手法なども現在とは違っていたと思われる。

ただ、この発見に至る経緯には不可解な一本の電話の存在があった。

気味の悪い電話

「なんですか?どこの公園ですか。知ってみえるんですか?」

遺体発見の約4時間前。海ちゃんの自宅に一本の電話がかかってきた。時刻は午前4時半ということで、明らかに電話をかけるには不自然な時間であり、自宅で両親らを支えていた友人が応対。すると、電話の相手は不可解な言葉を発した。

「公園。」

男はその声から、20代くらいの若者に思えた。小さな囁くような声で、「公園」「近く」と告げた。友人が「新生公園?」と問いかけると、それに対しても「そう」とだけ答えて電話は切れた。約30秒の通話だった。
その電話をもとに、警察が新生公園(正式には足近新田公園)を調べたところ、公園内のトイレから海ちゃんの遺体が発見されたのだった。
警察は、事件後に海ちゃんの自宅に録音設備を配置し、録音していた。電話の主が犯人もしくは何らかの関与をしているとしてその録音の公開、広く一般からの情報を求めた。
愛知県警科学捜査研究所によると、声の主は30代以下の男性で、背景に音がなかったことから公衆電話からかけられたものと断定。
また発見された当時の海ちゃんは衣服を身に着けていたが、それに土汚れなどがなく、また当日は雨が降っていたにもかかわらず雨水もついていなかった。そのことから、犯人は海ちゃんを拉致した後、車などに連れ込み殺害し、遺体を別の場所に移したりすることなく時間をおいて遺棄したとみた。
警察は不審車両などの割り出しを行ったが、犯人に結び付くような情報はなかなか得られないでいた。

さらに、当初寄せられていた目撃情報のほとんどにおいて、その信頼性が揺らぐという事態も起きていた。

錯綜

海ちゃんは7日の午後2時50分ころ、黄色の傘をさして学校の東門を出て行くところを同級生の男児に目撃されていた。
その後は通常ならピアノのお稽古のためにいったん帰宅してから再度出かける予定が、当初、学校を出た後の海ちゃんと、自宅の逆方向にあるコンビニの前で会った、という同級生女児の証言があったという。しかも、その後午後4時前にはそこから200m離れた稲荷神社まで一緒に行ってそこで別れたという具体的なものだった。
捜査本部はその情報をもとに午後4時以降の海ちゃんの足取りを追ったが、コンビニ周辺、稲荷神社周辺で海ちゃんを見かけたという目撃情報は皆無で、事件発生から5日目の12日にはその目撃情報自体を再度検証することとなった。

多くの目撃情報は、学校が土日だったこともあって学校側が聞き取りをしてまとめたものだったという。さらに、警察が重視していた稲荷神社まで一緒に歩いたという女児の証言は、間に女児の母親が介在しており、警察からの質問を母親から聞いてそれに対して返答しただけというものだった。
非日常な出来事が身近で起きると、子供は大人たちが求める答えを話そうとすることがある。ましてやそれが親や警察といった相手だと、力になることで褒められたいという気持ちもあろうし、事の重大さがわからなかったとしても不思議ではない。

しかし結果として、捜査は振出しに戻るどころか、1週間も経過してしまったことで人々の記憶がさらにあいまいになってしまった。
市民の間でも、「昨日聞いてきた場所と今日聞いてきた場所が反対方向だったりする。警察は何をしているのか」といった不信感を持つ人も増えていた。

犯人の目星がつかない中、報道でも警察の初動に対する批判もあった。
警察は、通常子供が行方不明になった際にはわいせつ目的の連れ去りや身代金目的の誘拐も視野に入れてしかるべきのはずが、海ちゃんの場合、警察は自宅に逆探知の装置を置いていなかったという。当初より、事故の可能性に重きを置いていたことの表れでもあり、結果として犯人とおぼしき男からの電話がかかってきた際にも、録音するにとどまり逆探知はできなかった。

そんな捜査を嘲笑うかのように、4月20日には岐阜市の路上で小学二年の女児が若い男にランドセルを掴まれるという事件が起きた。
幸い、女児が大声を出したのを近くにいた人が聞きつけ飛び出したことで男は逃走したという。
現場は海ちゃんの事件からは10キロほど離れた場所で、事件の関連性は分からなかったものの、同じ時間帯、同じ下校中の低学年女児が被害に遭っていることなどから警察は関連性も排除せずに捜査を続けた。

そして4月30日、捜査本部は同じ羽島市内に暮らす20歳の無職の男を発表した。

【有料部分 目次】
錯綜
それまで
雨の日の午後
快楽殺人者
判決
家族という地獄絵図

🔓愛のテーマ~兵庫・タクシー運転手強盗殺人事件~

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レッツ・シング・ア・ソング

「ここ、なんちゅうところ?」

平成12年12月27日午後7時、姫路市東夢前台3丁目の公衆電話。
店じまいをしていた酒店の店主は不意に若い男に声を掛けられた。
「なにしてるんや。」と聞くと、その男はタクシーを呼びたいと話した。
「店の名前言うたらすぐ来てくれる」と店主は答えた。

ふと、若者の背後にぼんやりと立っている若い女に気が付いた。全身黒づくめ。今時の流行の格好か。

店主はそれ以上話すこともなく、店を閉めた。

午後9時半。
御津(みつ)町室津の民家に、電話を貸してほしいという若い男女が現れた。
特に不審な様子は感じなかったものの、時間的なこともあってその家の住人は公衆電話の場所を教えたという。
ふたりは断られて不満げな様子もなく、ふたたび国道端へ出ると通りがかる車をヒッチハイクしていた。

午後10時。
姫路市内のタクシー会社に、「お宅のタクシーが空き地にずっととまっている」と連絡が入った。確認すると、その日7時ころに客からの依頼で向かったタクシーと連絡が取れない状況になっていた。
そのタクシーが最後に連絡してきた際、「室津まで延長になった」と話していたが、タクシーがとまったままだと連絡があった場所も、室津だった。

午後10時半。
タクシー会社の社員が現場へ到着したところ、たしかに非常灯をたいたままのタクシーが空き地に停車していた。
この間、ずっと無線で呼びかけていたが、反応はなかった。
中を覗くと、そこには運転手がハンドルを抱えて寝ているような、そんな様子が見えた。具合でも悪くなったのか?
しかしドアを開けると、車内は血の海だった。運転手は首から激しく出血しており、すでに意識のない状態。襲われたのは明らかだった。
救急搬送されたが、運転手は約1時間後に死亡が確認された。

【有料部分 目次】
16歳のふたり
それまで
ちゃんと出会えた
クリスマスの夜
この素晴らしい世界のために
終焉
ねぇあいしてるよ あいしてるよ

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🔓愛のテーマ~兵庫・タクシー運転手強盗殺人事件~
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片隅の記録・2025新年特大号〜三面記事を追ってpart10〜

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幼い子供や若い女性が理不尽な暴力の犠牲になったり、多くの死傷者が出た事件などは衝撃的で、その報に接した人々の記憶に強烈な爪痕を残す。
白昼、公共の場での無差別殺人などもそうだろう。
その後の報道で、事件の背景、加害者と被害者の関係性に嫉妬、差別、逆恨みなどの「わかりやすいドロドロ」がある場合なども、後々まで語られる。

ただ時にそれらは、憶測や虚偽、誇張などによって事実とは違った姿で歩き出してしまうこともある、奈良月ヶ瀬の女子中学生の事件や、山口のつけびの村などがそうだろう。

一方で同じく人が殺害されても全く話題にもならない事件も山のようにある。同じように、多くの人々の人生が狂い、壊されているにもかかわらず。

事件備忘録のある意味原点とも言える、「小さな扱い」しかされなかった事件の記録。 続きを読む 片隅の記録・2025新年特大号〜三面記事を追ってpart10〜

🔓一生忘れない~横浜・一家3人殺害事件/高知・母子殺害事件

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平成14年、横浜市都筑区のマンションでその部屋に暮らす老夫婦と孫が殺害される事件が起きた。
後に逮捕されたのは、被害者夫婦の娘の夫。離婚についての協議中だった。

夫は義両親と義理の息子を殺害した動機について、「妻と二人だけで話し合いたかった」とし、良かれと思って娘のために仲介していた義両親を邪魔に思い、さらには同居していただけの義理の息子まで殺害した。

夫は死刑判決を受け、平成24年3月29日、死刑執行となった。

その事件から約1年後。
同じ横浜市内のマンションで、同じくその部屋の住人夫婦そして19歳の娘が殺害されるという事件が起きた。
こちらも都筑区の事件同様、交際相手とのトラブルを心配した両親もろとも、殺害された。ただ、こちらは加害者がその場で自殺していた。 続きを読む 🔓一生忘れない~横浜・一家3人殺害事件/高知・母子殺害事件

🔓ここにいる~静岡・クリニック女性二名殺害事件~

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「先に帰りますよ」

平成17年1月28日、静岡市葵区新伝馬町。休日出勤をしていた事務員は、まだ残っていたショップの女性従業員ふたりに退勤の挨拶をして出ていった。

1月終わりの夕方5時すぎ、すでにあたりは薄暗くなり始めていた。
静岡市の中心部から少し離れた田畑の中の住宅街。比較的交通量は多い県道沿いの脳神経外科クリニック二階にある「クオリテ」は、クリニックの院長の妻が運営しており、主に健康食品やリラクゼーション器具を取り扱っていた。
その日は4人の従業員が出勤していたが、うちふたりは午後5時に退勤していた。

午後10時を過ぎた頃、近所の住民はふとその店にまだ明かりがついていることに気が付いた。
すでに1階のクリニックは閉まっており、いつもなら夜間店に電気がついていることは稀だったことで気になった。

同じ頃、従業員の家では、出勤したまま連絡がつかない女性のことを家族が心配していた。いつもは夕方の6時から遅くとも7時までには帰宅していたという。勤務先の店に電話しても、誰も出ない。
家族は深夜0時になっても帰宅しないことから、直接勤務先へ行ってみることにした。

0時半、捜しに来た娘夫婦が見たのは、店内で縛られ、大量に出血して倒れている二人の女性の姿だった。

その日

家族はすぐに110通報、深夜の住宅街はパトカーのけたたましいサイレンと赤色灯で異様な雰囲気に包まれた。
倒れていた女性二人は、この店の従業員の女性と確認されたが、残念なことにすでに死亡していた。また、店内はレジや引き出しが荒らされ、現金数万円がなくなっていることから、警察ではふたりが何者かに殺害された可能性が高いとして捜査を開始した。

殺害されていたのは、静岡市清水区村松原の竹内真知子さん(当時57歳)と、同じく静岡市西島の井本嘉久子さん(当時60歳)。
ふたりともこの店に長く勤めていて、特に井本さんは仕事ができ、時には経営者の妻に代わって店を取り仕切るほど、信頼も得ていたという。
竹内さんは井本さんに誘われて仕事をするようになり、おとなしく人当たりの良い、親切な女性だと評判だった。ふたりとも地域での友人も多かった。

二人とも恨みを買うような人物ではなく、またこの辺りではクリーニング店が盗みの被害に遭ったり、車上荒らしが出るなどしていたこともあって、強盗と鉢合わせしたのでは、という推測もあった。

が、警察はその殺害方法の残忍さや強い殺意、そして店内にはまだ現金が残されていたことなどから、店内が荒らされていたのは強盗に見せかけるための偽装と判断。クリニックと店のいずれか、または両方に強い恨みを抱く人間によるもので、計画性の高い単独犯行との見方を強めていた。
単独犯と断定したのは、現場に残された血染めの靴跡が一人分だったためである。

そんな中、一つの目撃情報が近隣住民から寄せられた。

事件が起きた日の夕方、若い男がクリニックの敷地のフェンスを乗り越えて自転車で店から立ち去るのを目撃していたのだ。
さらに、事件現場の店の中で、ナイフ入りのザックが発見される。ただそのナイフは凶器ではなかった。
警察はクリニックとクオリテに来た人物らを徹底的に洗い出した結果、事件前日にクリニックを訪れた若い男が浮かび上がってきた。
男は当初偽名を使っていたといい、加えて、診察にあたった医師に対し、「先生は正常ですか、異常ですか?」などと不審な言動が見られたこともあって院長らが男のことを覚えていた。

その後、現場に落ちていた凶器ではないナイフの所有者がその男であることも判明、さらに現場に残されていた自転車のタイヤ痕と、男が所有する自転車のタイヤ痕も一致したことから警察ではこの男が何らかの関与をしている可能性が強いとして任意で事情を聞くこととなった。

男は調べに対し、27日にクリニックを訪れたことと、現場に落ちていたナイフが自分の所有物であり、27日にクリニックに行った際に持参していたものだと認めた。が、28日にはクリニックにもクオリテにも行っていないとして殺人への関与を否定したため、警察はさらに男を追及していくこととなった。

1月30日、県警で任意の取り調べを受けていた男は、取り調べが長引いたことで外の空気を吸おうと立ち上がったところ、それを制止した警察官に対し椅子を持ち上げるなどしてその公務を妨害したとして現行犯逮捕された。
警察官は4人がかりで制止したといい、その内の一人が眼鏡を壊され負傷していた。

公務執行妨害で逮捕されたのは静岡市の高橋義政(当時24歳)。高橋は現役の静岡大学の学生だった。

【有料部分 目次】
攻防戦
忘れられない人
自分を支えた憎しみ
自白
つかめない心
置き去りの被害者と遺族
判決確定
疑問
「ここにいる」

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🔓ここにいる~静岡・クリニック女性二名殺害事件~
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