🔓一生忘れない~横浜・一家3人殺害事件/高知・母子殺害事件

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平成14年、横浜市都筑区のマンションでその部屋に暮らす老夫婦と孫が殺害される事件が起きた。
後に逮捕されたのは、被害者夫婦の娘の夫。離婚についての協議中だった。

夫は義両親と義理の息子を殺害した動機について、「妻と二人だけで話し合いたかった」とし、良かれと思って娘のために仲介していた義両親を邪魔に思い、さらには同居していただけの義理の息子まで殺害した。

夫は死刑判決を受け、平成24年3月29日、死刑執行となった。

その事件から約1年後。
同じ横浜市内のマンションで、同じくその部屋の住人夫婦そして19歳の娘が殺害されるという事件が起きた。
こちらも都筑区の事件同様、交際相手とのトラブルを心配した両親もろとも、殺害された。ただ、こちらは加害者がその場で自殺していた。 続きを読む 🔓一生忘れない~横浜・一家3人殺害事件/高知・母子殺害事件

🔓ここにいる~静岡・クリニック女性二名殺害事件~

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「先に帰りますよ」

平成17年1月28日、静岡市葵区新伝馬町。休日出勤をしていた事務員は、まだ残っていたショップの女性従業員ふたりに退勤の挨拶をして出ていった。

1月終わりの夕方5時すぎ、すでにあたりは薄暗くなり始めていた。
静岡市の中心部から少し離れた田畑の中の住宅街。比較的交通量は多い県道沿いの脳神経外科クリニック二階にある「クオリテ」は、クリニックの院長の妻が運営しており、主に健康食品やリラクゼーション器具を取り扱っていた。
その日は4人の従業員が出勤していたが、うちふたりは午後5時に退勤していた。

午後10時を過ぎた頃、近所の住民はふとその店にまだ明かりがついていることに気が付いた。
すでに1階のクリニックは閉まっており、いつもなら夜間店に電気がついていることは稀だったことで気になった。

同じ頃、従業員の家では、出勤したまま連絡がつかない女性のことを家族が心配していた。いつもは夕方の6時から遅くとも7時までには帰宅していたという。勤務先の店に電話しても、誰も出ない。
家族は深夜0時になっても帰宅しないことから、直接勤務先へ行ってみることにした。

0時半、捜しに来た娘夫婦が見たのは、店内で縛られ、大量に出血して倒れている二人の女性の姿だった。

その日

家族はすぐに110通報、深夜の住宅街はパトカーのけたたましいサイレンと赤色灯で異様な雰囲気に包まれた。
倒れていた女性二人は、この店の従業員の女性と確認されたが、残念なことにすでに死亡していた。また、店内はレジや引き出しが荒らされ、現金数万円がなくなっていることから、警察ではふたりが何者かに殺害された可能性が高いとして捜査を開始した。

殺害されていたのは、静岡市清水区村松原の竹内真知子さん(当時57歳)と、同じく静岡市西島の井本嘉久子さん(当時60歳)。
ふたりともこの店に長く勤めていて、特に井本さんは仕事ができ、時には経営者の妻に代わって店を取り仕切るほど、信頼も得ていたという。
竹内さんは井本さんに誘われて仕事をするようになり、おとなしく人当たりの良い、親切な女性だと評判だった。ふたりとも地域での友人も多かった。

二人とも恨みを買うような人物ではなく、またこの辺りではクリーニング店が盗みの被害に遭ったり、車上荒らしが出るなどしていたこともあって、強盗と鉢合わせしたのでは、という推測もあった。

が、警察はその殺害方法の残忍さや強い殺意、そして店内にはまだ現金が残されていたことなどから、店内が荒らされていたのは強盗に見せかけるための偽装と判断。クリニックと店のいずれか、または両方に強い恨みを抱く人間によるもので、計画性の高い単独犯行との見方を強めていた。
単独犯と断定したのは、現場に残された血染めの靴跡が一人分だったためである。

そんな中、一つの目撃情報が近隣住民から寄せられた。

事件が起きた日の夕方、若い男がクリニックの敷地のフェンスを乗り越えて自転車で店から立ち去るのを目撃していたのだ。
さらに、事件現場の店の中で、ナイフ入りのザックが発見される。ただそのナイフは凶器ではなかった。
警察はクリニックとクオリテに来た人物らを徹底的に洗い出した結果、事件前日にクリニックを訪れた若い男が浮かび上がってきた。
男は当初偽名を使っていたといい、加えて、診察にあたった医師に対し、「先生は正常ですか、異常ですか?」などと不審な言動が見られたこともあって院長らが男のことを覚えていた。

その後、現場に落ちていた凶器ではないナイフの所有者がその男であることも判明、さらに現場に残されていた自転車のタイヤ痕と、男が所有する自転車のタイヤ痕も一致したことから警察ではこの男が何らかの関与をしている可能性が強いとして任意で事情を聞くこととなった。

男は調べに対し、27日にクリニックを訪れたことと、現場に落ちていたナイフが自分の所有物であり、27日にクリニックに行った際に持参していたものだと認めた。が、28日にはクリニックにもクオリテにも行っていないとして殺人への関与を否定したため、警察はさらに男を追及していくこととなった。

1月30日、県警で任意の取り調べを受けていた男は、取り調べが長引いたことで外の空気を吸おうと立ち上がったところ、それを制止した警察官に対し椅子を持ち上げるなどしてその公務を妨害したとして現行犯逮捕された。
警察官は4人がかりで制止したといい、その内の一人が眼鏡を壊され負傷していた。

公務執行妨害で逮捕されたのは静岡市の高橋義政(当時24歳)。高橋は現役の静岡大学の学生だった。

【有料部分 目次】
攻防戦
忘れられない人
自分を支えた憎しみ
自白
つかめない心
置き去りの被害者と遺族
判決確定
疑問
「ここにいる」

🔓被害者の事情、加害者の事情

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令和6年5月、新宿のマンションエントランスにて20代の女性が店の客だった50代の男性にメッタ刺しにされて殺害される事件が起きた。

2人の関係が明らかになるにつれ、被害者の属性や生前の発言などから、どちらが被害者なのかわからないといった声が多く聞かれた。

たしかに、加害男性はFacebookなどをみるといたって普通の男性で、車やバイクを趣味としている人物、一方被害女性は勤務する飲食店で男性から多額の支払いを受けていた事実はあった。
それだけでも風向きは被害女性に対して冷たかったのが、加害男性が大切にしていた車を売り払ってまで金を工面していたという話が出ると被害女性に対するバッシングが加速した。

個人的にはどんな事情があってもだからって殺すかよ、なので、加害男性に同情はしないが、事件を起こす以外にないと加害者が思い込む過程、背景については、たとえ被害者にとって不利なことでもそれらも踏まえて考えなければならないと考えている。

裁判では一定限度を超えるケースについては加害者に有利に判断されることも少なくないし、それを踏まえたとしても情状酌量の余地はないとする判決もあるが、報道ではなかなか被害者の落ち度的なものは伝わりにくい。

ましてや、直接の被害者以外の人間の言動が根本だとしたら、伝わることは少ない。

3つの事件が起こったその背景について。 続きを読む 🔓被害者の事情、加害者の事情

🔓更生は、できませんpart2~群馬女性強姦殺人事件(など)~

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男は焦っていた。

どうやら警察が自分を嗅ぎまわっているらしい。誰にも見られていないと思っていたのに……
ひとり暮らしの女の行方が分からないといって、こんなに早く警察が動くもんなのだろうか。

とりあえず、あれだけは見つかってはいけない。

男は一人寝床をそっと抜け出すと、その場所へと向かった。

【有料部分 目次】

車の中の遺体
自供
男のそれまでと、家族
繰り返された犯行
極悪
元妻
更生は出来ません

🔓哀しみの地獄で生きて~長浜・二幼児殺害事件~

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「今日は眼科に行く予定があって。園はお休みします。」

滋賀県長浜市のその住宅に、一人の女性が訪ねてきていた。女性は、この家に住む息子と同じ幼稚園に娘を通わせている母親。
幼稚園ではこうして保護者が交替で園児らをグループ分けし、送迎するシステムになっていた。
いつものように、当番の保護者が迎えに来た。しかしその家の息子はその日眼科へ通院する予定になっており、迎えに来た当番の母親に対し、園を休むことを伝えた。

いつもと変わらない、普通の日。当番の母親はほかの2軒の家を回り、子どもたちを車に乗せた。

午前9時過ぎ、車は人気のない農道を走っていた。両脇に広がる田んぼ。その途中で、車は止まった。

そう、長くない時間だった。ドアが開き、中から女が下りて来て、後部座席の子どもを引きずり出した。そしてまるで放り出すように、子どもを道路上に放置し、再び車の中で何かしていた。
また、子どもが車から引きずり出される。その子は、道路と田んぼの間の水路に落とされた。

走り去る車。そこには、倒れた子どもふたりと、赤い通園バッグが残されていた。

一報

通報が入ったのは、平成18年2月17日午前9時過ぎ。国道8号から南へ約300mほど行った農道で、通りがかった男性からの「幼い子供が二人倒れている」というものだった。
救急隊員が駆け付けたところ、たしかに子供二人が倒れていた。交通事故にでも遭ったのか?しかし、二人はまさに血まみれ、車に跳ね飛ばされたような状況とは違っているように見えた。
隊員の呼びかけに、男の子はかすかに息をしている様子だったが、女の子はもはや意識はなくすでに心肺停止状態。男の子も呼吸をするたびに、口から血があふれていた。

長浜赤十字病院に搬送されたが、女の子はすでに死亡、男の子も緊急手術の甲斐なく死亡が確認された。

死亡したのは長浜市新庄寺町の武友若奈ちゃん(当時5歳)と、佐野迅くん(当時5歳)。ふたりとも、同じ近くの神照幼稚園に通っていた。
幼稚園では午前11時ころから園長による事件の説明が保護者に向けて行われたが、当然のことながら保護者らも一体何が起きたのかわかっていなかった。
ただ、登園する途中で園児二人がケガをした、園に来ていない別の子どもがいる、その登園していない園児の母親が、二人を送迎する当番だった、などなど断片的な情報だけが錯綜していた。

同じ頃、事件を受けて緊急配備を敷いていた滋賀県警は、大津市の真野インターチェンジ付近で手配されていた白のダイハツ・ムーブを発見。車内を見れば後部座席が血の海だった。
運転していたのは車の所有者の妻で、殺害された二人の園児宅の近所に住む女。女の娘も、二人と同じ幼稚園に通っており、警察が発見した際、その娘も車内にいた。

女は、名前を谷口充恵(みえ)といった。かわいい女の子の、お母さん。

そのお母さんは、中国からやってきた。日本という素晴らしい国に希望を抱き、自分の夢をかなえようと、幸せになろう、なれると信じてやってきた。

本名・鄭永善(てい えいぜん)。

彼女の夢と希望は、彼女自身によって砕かれた。

【有料部分 目次】

裁判
家族
壊れゆく女
家族の都合
幼稚園と「変わった感じのお母さん」
娘に重ねる「自分自身」
助けてください
伝えることの難しさ
自分の中の地獄