自己中男がしがみついた家族のカタチ~大阪・妻子3人殺害事件~

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平成22年1月24日

大阪市内の飲食店の厨房で、男は仕込みの真っ最中だった。
誰もいない店内で、男は黙々と下ごしらえをこなす。いつもは店に来るような時間ではなかったが、男はどうしてもこの時間に引継ぎをしておく必要があった。

全ての下ごしらえが終わると、男は仕事の手順などをメモに書き置いて、店を出た。
正月気分がようやく抜けようとしている1月下旬。行きかう人々の波にのまれながら、男は買い物を済ませネットカフェに入る。
個室に入ってひとりきりの空間を確保すると、男の脳裏に今朝方の自宅の様子がありありと浮かんできた。
コンビニで購入したカッターナイフを見つめると、その手が覚えている「あの感触」までもが甦った。

1月25日午後4時、男は北区の曽根崎警察署に出頭。
男は24日の未明、妻と子供二人をその手にかけていた。 続きを読む 自己中男がしがみついた家族のカタチ~大阪・妻子3人殺害事件~

本当に辛かったのは、誰か~深谷市・利根川心中未遂事件~

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平成27年11月21日

埼玉県熊谷市と深谷市を流れる利根川。
そこに一台の軽乗用車が浅瀬で立ち往生していた。
川岸には、ずぶ濡れで膝を抱えてうずくまる女性。

好きな歌を口ずさみ、空を見上げていると、夜が白々と明けてきた。体は冷え切り、それでも睡魔が襲ってくる。

午前八時。
その頃警察には110番通報が相次いでいた。
「川に不自然な形で車が突っ込んでいる」
「利根川に人のようなものが浮いている」
警察が駆け付けたところ、高齢女性の遺体が川に浮いていた。さらに、上流で高齢男性の遺体も発見された。
川岸でうずくまっていた女性も保護され、調べで3人は親子であることが判明。
軽自動車は女性の所有で、女性の供述から親子で心中を図ったことが分かった。

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🔓本当に辛かったのは、誰か~深谷市・利根川心中未遂事件②~

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【有料部分目次】
批判の矛先と雨宮処凛
父の本心
娘の生きがい、存在意義
隠された怒り
「あっちゃん、ごめんな」

🔓それがあなたの幸せならば~福井・大野市老夫婦火葬場心中~

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平成17年11月7日

農作業に出向いたその町民は、どこからかクラシックの曲が流れていることに気づいた。
思えば、朝からそれは聞こえているような気もする。しかしそれはどこから聞こえているのか。 車を走らせ、田んぼが広がる集落のはずれまで来たとき、墓地の中に1台の車が止まっていることに気づいた。

朝方通りがかったときにも、この車はあった。しかしその時は、早朝の墓参りか何かかと思ってやり過ごしたが、昼になってもあることでその不信感は募った。

近づいてみると、車のエンジンはかかったままで、その車から大音量でクラシックが流されていた。 町民はふと、墓地の中にあるレンガ造りの建物に目をやる。胸騒ぎを抑えつつ近寄ると、その建物は外からでも熱を帯びていることが分かった。

そのレンガ造りの建物は、30年ほど前から使用されていなかった「火葬場」であった。

見つかったメモ

町民からの通報で駆け付けた大野署員により、そのレンガ造りの建物の扉が開けれらた。
ブロックの土台にレンガを積み上げ、扉は鉄の観音開き。質素なつくりのそれは、やはりまだ温かかった。
中を確認すると、白骨遺体があった。ほとんど灰になっていたというその遺体は、どうやら二体あり、その時点で車の所有者の遺体である可能性が高かった。

署員が車を捜索すると、車内から給油伝票が複数枚見つかった。そして、その裏面には、これが「覚悟の自殺」であることがはっきりと記されていた。

「午後4時半、車の中に妻を待たせている」
「午後8時、妻と家を出る」
「兄弟の家や思い出の場所を巡って火葬場にたどり着いた」
「妻は何も言わず待っている」
「炭、薪で荼毘の準備する」
「午前0時45分をもって点火する」
「さようなら」

車検証を確認せずとも、その車から所有者はすぐに分かった。大野市七板在住の沢田定栄さん(当時80歳)。火葬場の炉のなかに横たわっていた2体の遺体は、その後の歯形による鑑定で定栄さんと、妻の貞江さん(当時82歳)と判明した。
警察では、定栄さんが妻を連れて心中したとみて、自宅などを捜索したところ、定栄さんがつけていた日記帳も発見された。 その日記帳には、この日より1年前から定栄さんが身辺整理を行っていたことをうかがわせる記述が見られ、事実、遺体発見の翌11月8日、大野市役所に定栄さんからの封書が届いた。
中には、定栄さんが所有する家、1万平方メートル以上の田畑を含む不動産などの目録があり、「すべて市に寄付する」という旨の言葉も添えられていた。 そして、預貯金などの金銭についても、世話になった人々へ渡るようにきちんと指示されていた。

作成された日付は1年前。 さらに日記帳には、11月6日のページに、「妻と共に逝く」と記されていた。

【有料部分 目次】
老夫婦
理由
大正生まれ
祖父と定栄さん
それがあなたの幸せならば

ここからは有料記事です

何もかもを間違えた一家にとどめを刺した8000万円~豊田市・家族3人殺害放火事件~

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平成27年5月26日未明

愛知県豊田市太田町の民家に、男が駆け込んできた。
家主を起こした男は、「家が燃えている、自分は用事があるから119番通報を頼む」とだけ告げて、どこかへと去っていった。
慌てた家主が外に出ると、先ほど訪ねてきた男の家が確かに燃えていた。

その頃、男は岡崎市岩津町へと車を走らせていた。
岩津天満宮の駐車場に車を停めると、そこから300メートルほど離れた場所にある「はんこ屋」を訪ねていた。

「お前のせいで家族がめちゃくちゃだ、妻が病気になったのはお前のせいだ!殺してやる」

喚き散らして逆上する男に、はんこ屋の主人とその妻はただただなだめるのに必死であった。
男は通報で駆け付けた豊田署の警察官に逮捕された。

男の名は松井芳治(当時65歳)。芳治は、はんこ屋に怒鳴り込む前、妻とその母、そして長女の3人を殺害し、自宅に火を放っていた。

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