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まえがき
妊娠は、本来誰からも祝福されるものだ。新しい命が宿り、十月十日を一緒に過ごし、ともに親子へと成長するその過程は、母親となる女性にとっても素晴らしいことである「はず」。
しかしその妊娠が、自分の人生をより困難に、時にはぶち壊す存在にしか思えなかったとしたら。
その存在が、自分や今いる家族のなかでまったくの「不要」なのだとしたら。
虐待とは少し違う、最初から要らなかった、生まれてもらっては困る命をその手で葬る母親がいる。当然彼女らは責められ、社会的、法的に責任を取らされ、世間からは鬼母、異常者、馬鹿者と罵られる羽目になる。
ただそれまでの過程を見てみれば、母親が一貫して「いらない」と思っていたというわけでもないケースが多々見受けられる。むしろ、そう思えなかったが故の、というものもある。それはひとえに、新生児殺しが母親「以外」の要因があってこそ、起こるものであるからだ。
自身の命を懸けて出産したわが子を手にかけざるを得なかった母親たちの陰で、神妙な表情をしながら目を泳がせている人々の存在に焦点を当ててみたい。
続きを読む ずるいヤツら~新生児殺しを誘発する人々①~