忘れないで~生きた証①~

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令和になってもなくなることがない、親による虐待事件。
民法第822条に定められていた親の懲戒権というものが正当な範囲の躾に基づくものなのか、そうでないのかの判断が難しく、令和になってようやく削除となった。

昭和生まれの私が育った家庭では、幼いころは押し入れに入れられたり、廊下で正座させられたり玄関先で立って反省しろと言われたり、よほど悪いことをした時にげんこつをかまされたりすることはあっても、日常的に殴られたりということはなかった。
しかし友達の家では、「やいと」(お灸のこと)をお仕置きがわりにされたり、殴られて歯が折れたとか、そういう話は珍しいことでもなかった。

もちろん、お仕置きされた子どものやらかしは「どんだけ悪いことをしたんだ」と皆が思うようなものだったし、やられた子どもも、親の懲戒という認識があった。親だから、愛されているからこそのものだと、子どもも分かっていた。だから反省したし、誰も命の危険にさらされるような目には遭ってない。

これまで一体どれだけの子どもが、親に殺されただろうか。
理由は様々で、死んでもいいと思ってのものもあれば、あくまで躾のつもりだったというものもある。
中には信じられないが、虐待行為そのものを面白がって、というものや、夫や妻の歓心を買いたい、見捨てられたくない、自分を守るためといったものもある。

事件備忘録でも多くの虐待事件を取り上げてきた。
かねてから過去に報道されている虐待によって亡くなった子供たち一人一人の事件を短くてもいいから、その事実を書き留めていきたいと思っていて、今回からそれを始めてみようと思う。

その内容として単独記事にするものもあるが、古いものは虐待の捉え方が今と違っていたことから情報自体が少ないため時系列と結果のみ、というものも出てくるが、出来る限り取り上げていきたい。 続きを読む 忘れないで~生きた証①~

🔓ボクの女神さま~恐ろしい女part2・淀川リンチ殺人事件~

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平成19年2月、大阪の淀川から、バイクをくくりつけられた少年の遺体が発見された。
後に、少年が男女交際のトラブルから誤解を受け、複数の少年を含む男たちにリンチを受けていたことがわかり、当時16歳の少年が主犯格として逮捕された。
主犯格の少年の裁判では殺意を否認する少年に対し、被害者遺族が激高、傍聴席から罵声が飛び、退廷間際に柵越しに被害者の関係者が被告の少年を蹴るという一幕もあった。
主犯格の少年については令和になって別の事件との関連が噂されSNSで注目されることもあったが、この平成19年の事件は「淀川リンチ殺人」として注目された事件である。

その事件より前、同じように激しいリンチの末に淀川に重しをつけて放り込まれ、死亡した男性がいた。

もうひとつの、「淀川リンチ殺人事件」。

【有料部分 目次】

淀川の遺体
変わり果てていた息子
逮捕された二人
三人のぞれぞれ
鎌首を擡げる女
切り刻みたい衝動
疼き
ボクの女神さま

片隅の記録〜三面記事を追ってpart2〜

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千葉の転落死

「あんたはヒモのくせに。私には強い味方がいるんだ。この部屋の家賃は私が払っている。早く出ていけ!」

女は出勤前の慌ただしさも手伝って苛立っていた。
もう本当に限界。何でこんなジジイと結婚してしまったんだろう。日本人は働き者のはずだったのに。
仕事もしないでゴロゴロして、私の稼ぎにぶら下がっているジジイなんかいらない…
ていうかさっきから何をゴソゴソしているんだろう。何もかもがあーもう。腹が立つ!

「早く出てってよ!」

振り向いたその時、体に衝撃があった。

「?」

ふと見れば、体の胸あたりから、血がとめどなく溢れていた。 続きを読む 片隅の記録〜三面記事を追ってpart2〜

片隅の記録~三面記事を追って~

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家庭内での不幸な事故、悲しい交通事故など、新聞の片隅にその事実だけが掲載されるだけの出来事。

事件として発生当時は大々的に報じられるも、すぐに忘れ去られてしまうような続報のない事件。

そして当事者が全員死亡して真相がわからないままの事件。

けれどそこにも、いろんな人生があってドラマがある。

報じられたことから推測されていたことが、実は違っていたり。裁判を傍聴しているとよくある。なぜ事件が起きたのか、その本当の部分は時に、報道することが躊躇われたり、あるいは記者本人の主観がそうさせたり。

報道から読み取ったことが実は違っていた事件、ひとつの事故で被害者と加害者が家族の中に生まれた場合に起こること、そして、真実が分からない無理心中の記録。 続きを読む 片隅の記録~三面記事を追って~

🔓理由なき最期と、「再会の日々」〜宮城・女性殺害事件〜

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平成18年1月31日。
宮城県名取市の県立がんセンターにおいて、一人の父親がこの世を去った。
まだ50歳。愛する妻や娘たちの今後を本当ならば見守ってあげられる年齢だった。

そして彼には、平成13年からこれまで、犯罪被害者遺族の権利拡大を求めての活動という、大変な仕事があった。

曵地正美さん。彼の当時二十歳の愛娘は、同じ歳くらいの若者複数名に激しい暴力を加えられ、苦しみ抜いた挙句死亡し、その亡骸は冬の雪深い山に棄てられ、燃やされた。

犯人たちを殺してやりたいほど憎んだ父と母は、それでもその加害者たちとの「再会」を望んだ。
それは、固く閉ざされ絶対に開けられるはずがないと誰もが思っていた、犯罪被害者や遺族にとって大切な大切な、ある権利を得るための闘いの日々でもあった。

いなくなった娘

事件は平成12年の年の瀬に起きた。
宮城県柴田郡柴田町。人口約3万7千人、船岡城址、一目千本桜などが有名で、その季節には様々なイベントが催されることでも知られる。
阿武隈川の北、JR東北本線と岩沼バイパスに挟まれるように位置するところに、四日市場という地区がある。
畑が広がる長閑な地域。ここで暮らし成人式を間近に控えた若い女性の行方がわからなくなっていたのだ。

行方がわからなくなったのは、柴田町四日市場在住のアルバイト、曵地里美さん(当時20歳)。

平成12年12月19日の朝、曵地さん宅では里美さんの両親、祖父母、二人の妹たちが揃って朝食を食べていた。当時里美さんはアルバイトで帰りが遅くなることも多く、翌日予定がない場合は昼頃まで寝ていることもあったといい、朝食の席に里美さんがいないことは珍しくなかった。
この朝も、昨夜里美さんが帰宅したことを確認していた家族は、いつものことだと気に留めていなかった。
ただ、朝方玄関の鍵が空いていたことに母親の豊子さんが気づいていて、違和感を覚えてはいた。
また、祖父が朝方目を覚まして4時頃にラジオを聴いていた時、玄関先で里美さんの声が聞こえていたという。

18時、豊子さんが里美さんの携帯に電話を入れたところ、何やら里美さんの様子がいつもと違っていた。

「西公園(仙台市青葉区)の先輩のところにいる。」

話は里美さんが一方的に話す感じだったようだが、里美さんはその日の早朝、先輩に呼び出され合流し、別れた直後にいわゆる「レディース」に絡まれたと話した。
殴られ、金を取られるなどしたものの、別れた先輩が戻ってきたことで助けてもらい、今はその先輩の家でケガの手当てをしてもらっているのだという。

突然のことで、また娘が怪我をさせられたり金を取られたなどという事態で母親の豊子さんも動転したのか、話をうまく聞き出せないまま電話は切れた。
20時、再び里美さんから豊子さんに連絡があった。が、内容としては夕方に話したものとたいして変わらず、バイト先には休むことを伝えているとか、一人で電車で帰れるとか、そういったことを里美さんは伝えてきた。
とにかく、詳しい話は帰宅してからでもよかろう、そういう判断もあって、駅に着いたら迎えに行くから電話するように伝え、電話は終わった。

しかしこれが最後となってしまった。
以降、どれだけ家族が電話をかけても、それに里美さんが応じることはなかった。

里美さんは、この電話のわずか5日後、死亡する。

【有料部分 目次】
家族の苦悩
プリクラの先輩
不穏な動き
額の黒いシミ
若者たち
約束破ったっぺ
地獄の日々
もう、死にたいです
遺体にサングラス、遺棄現場の替え歌
民事を見据えた、刑事裁判
当事者であり続けるために
届いた手紙
本人訴訟
殺意の有無
加害者の親としての自覚
それぞれとの、対峙
帰ってくるわけでもないし……
戦いを終えて、そしてこれからも

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