家と家族を焼かなければ手に入らなかったもの~熊谷・一家3人放火殺人事件①

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平成18年12月下旬

「誰がやったんだろう、怖いね……
埼玉県熊谷市のとある民家で、軒先の鉢植えに火がつけられる「事件」が起こった。
火の気がないのは明らかで、大事には至らなかったものの、誰が、なぜこのようなことをしたのか、その民家の住民のみならず、近隣では回覧板を回すなどして注意を呼び掛けた。

年の瀬でもあり、季節がら火を使う家も少なくないため、いくつかの家では煙探知機などの警報器をつけたという。

しかし、その「事件」からおよそ一か月、その民家から1.5kmほど離れた別の家が燃えた。 続きを読む 家と家族を焼かなければ手に入らなかったもの~熊谷・一家3人放火殺人事件①

🔓家と家族を焼かなければ手に入らなかったもの~熊谷・一家3人放火殺人事件②~

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【有料部分目次】
見えない動機
気を惹きたかった女
私だけを見て
もうひとつ

善き人の、誰も知らないためらい傷~桑名市・家族2人放火殺人事件~

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平成18年2月13日

子どもたちが集団登校し始めた月曜日の午前8時。
畑が広がるのどかな桑名市長島のこの一帯では、冬の寒さの中、早朝から畑仕事に勤しむ人々の姿も見られた。
天気予報は、日中の気温が15度近くまで上がると告げており、冬独特の乾燥した一日になると予想された。

その日、男性はいつものように自身が栽培した野菜を市場へと出荷し、自宅に戻ってきた。
家には先週末から体調を崩している次男坊が寝ているはずだ。
家につくと、ふと、なにかにおう気がした。誰か朝から野焼きでもしているのだろうか。

男性は違和感を覚えながらも玄関の戸を開けた。

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🔓青空~苫小牧・2児ネグレクト死体遺棄事件~

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平成18年10月30日午後6時30分

すでに冬の寒さとなっていた北海道苫小牧市。10月第三週に入ってからは薄曇りの日が続き、最高気温は10度から13度となっていた。
この日も、日中は晴れていたものの気温は前日よりも3度低く、最低気温は4.1度と10月に入って最低気温を記録していた。

苫小牧市の中心部、旭町にある市営住宅。この一室で、母親はその日幼い兄弟を家に残したまま、帰らないと決めて玄関のドアを閉めた。

平成19年2月20日

その前日、苫小牧署に室蘭児童相談所から通報が入っていた。
「支援している母親の子どもに会えていない」
通報を受けて苫小牧署員が件の母親に連絡を取った。母親の名は山崎愛美(当時21歳)。旭町の市営住宅で4歳の長男と17か月の三男との三人暮らしだったが、室蘭児童相談所は、その三男の姿を確認できずにいた。
愛美は旭町の市営住宅を124日付で退去しており、当時は高砂町の実母が暮らす市営住宅に同居していたという。
生活には困窮していた様子で、一時は生活保護も受給していたが、それよりも子育てについて悩んでいた様子がうかがえた。

苫小牧市役所には、愛美が子供の面倒が見られないといった趣旨の相談に訪れた記録があり、29日には苫小牧市が室蘭児童相談所へ通告を行っていた。
それを受けて、室蘭児童相談所は愛美と2回にわたって面談した。その際に、三男がいないことを尋ねると、曖昧な返事しか返ってこなかったことに不信感を抱いた担当者が、苫小牧署へ通報したのだった。

署員が愛美に事情を聞くと、市営住宅退去後、有珠の沢町在住の当時交際していた男性宅で同居していたこと、荷物はその男性宅へ運んでいたことなどが判明、任意で男性宅を調べたところ、男性宅の裏庭にあった物置の中から乳児らしき遺体が発見された。
遺体は腐敗が進んでいたが、頭部にはビニールがかぶせられ、洋服は着たままだった。
愛美の自供から、この遺体が行方の分からない三男であるとみて死体遺棄の疑いで愛美を逮捕した。

遺体は死後35か月経過していると見られたが、愛美の話から食事を与えられなかったことによる衰弱で、餓死または病死したと推測された。
愛美は、「昨年10月から三男を自宅に残し、交際相手の家にいた。12月に戻ったら、三男が死んでいた」と供述。さらに、保護された長男も一緒に置き去りにしていたと話したが、保護された時点での長男の健康状態は問題がなかったことから、長男が実際はどこにいたのかも警察では調べを進めていた。

しかし、実際に長男は愛美の供述通りあの市営住宅にいた。弟と二人、帰らぬ母をその部屋で待ち続けていたのだ。

ウジ虫が這ってくる部屋

そもそも愛美が家を出てすぐの11月、市営住宅ではあるトラブルが起きていた。
愛美の自宅がある8階では、何とも言えない悪臭が漂っていたのだ。夏場であれば、ベランダに放置した生ごみなどの臭いかとも思えたが、時期は冬、暖房が必要な時期だった。
【有料部分 目次】
ハードモードの人生
殺意
残り物のチャーハン
「ママ、遅い」
裁判
苫小牧という土地
実母
楽しいことだけ

🔓放浪家族の子殺しのはて~福井・次女虐待死体遺棄事件~

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平成13年4月17日

仙台市太白区、東北自動車道仙台南IC付近で検問中だった宮城県警高速隊は、車検切れのステッカーが貼られた車を見つける。
その際、職務質問した男の免許が切れていることに気が付いた。
男が乗っていたのは石川ナンバーのレンタカー。車内には、女性と幼い子ども3人が乗車していたという。
さらに、男はこれまでに反則金を未納していることも判明していた。

高速隊員は、車内の状況や子どもたちの様子に不審な印象を受け、反則金の未納照会の際に家族構成を確認した。
「一人、二人、三人・・・」
高速隊員の顔色が変わる。この家族には、もう一人子供がいるのではないか。
無免許運転で逮捕したのち、男にそのことを問いただすと、男は「昨年の夏、次女が海水浴中に溺れ死んだので、処置に困って捨ててしまった」と答えた。
福井県警の捜査員らが、男が話した福井県河野村の国道8号線にある「道の駅河野」付近の草むらを探したところ、25メートルほど下った斜面に、幼児のものと思われる人骨を発見した。

しかし男は、捜査員に対し「殴ったら死んだ」という話もしていたのだ。

両親逮捕

無免許運転で逮捕されたのは、北海道生まれの住所不定、福本信夫(仮名/当時27歳)。警察は、レンタカーが借りられたのが免許失効後に妻の名で借りられていたことなどから、妻もその事実を知っていたとして妻からも事情を聞いていた。
発見された骨は幼児の頭部とみられていたが、DNA鑑定の結果が出るまでにとりあえず信夫を道路交通法違反で仙台地裁に起訴し、鑑定結果によっては傷害致死、死体遺棄の疑いで再逮捕する予定としていた。

5月22日、DNA鑑定の結果、発見された骨が信夫のDNAと酷似していることが判明。骨は、信夫の次女で行方不明の加奈ちゃん(当時2歳)である可能性が高まったとして、29日、信夫と妻の美穂(仮名/当時28歳)を死体遺棄容疑で再逮捕した。
さらに、加奈ちゃんが死亡した経緯についても調べが進められた。

当初は要領を得ない話を繰り返す両親だったが、加奈ちゃんは実際には海水浴で溺れ死んだのではなく、両親らの苛烈な虐待の末の死だったことが明らかになっていった。
2歳の女児は、生まれてからのほとんどの時間が虐待の日々であった。

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【有料部分目次】
無計画の家族
現実逃避と嘘の山
美穂
ホテルでの出来事
虐待者による蘇生術への評価
遺棄、そして
虐待死は殺人ではないのか