🔓慟哭~4つの少女による殺人~

この記事を転載あるいは参考にしたりリライトして利用された場合の利用料金は無料配信記事一律50,000円、有料配信記事は100,000円~です。あとから削除されても利用料金は発生いたします。
但し、条件によって無料でご利用いただけますのでこちらを参考になさるか、jikencase1112@gmail.comまで連絡ください。なお、有料記事を無断で転載、公開、購入者以外に転送した場合の利用料は50万円~となります。
**********

 

人が罪を犯すには多くは理由がある。他人から見ればバカバカしいようなことでも、本人には大問題、それこそ生きるか死ぬかというレベルに思えることもある。

大人でもそうであるなら、経験も知識も感情の制御も未熟な少年少女はどうだろう。
ただでさえ、思春期から成人するまでの年頃というのは、将来への漠然とした不安や、それまで正しいと信じてきた教師や親、ひいては社会全体への不信感なども芽生えるわけで、その自分でもどうしようもない苛立ちをそれでもどう昇華させるかは、だれしも苦く恥ずかしい思いと共に経験してきたことである。

親とぶつかり、友達とぶつかり、学校と社会とぶつかりながら、利己的な考えを改め、感情を抑え、時に理不尽に耐え、他人と一緒に尊重し合いながら社会で生きていくということを学ぶ。

それが出来なかった、あるいはそれ以前の問題だった少女たちはその時、なにを思ったか。彼女たちが起こした取り返しのつかない結末と慟哭。

広島の18歳

昭和59年12月、広島県三原市の通称白滝山のふもとで不審な男女が目撃された。中年男性と、少女。冬の午後6時といえばもう辺りは真っ暗だった。こんな遅くまで、こんな場所で何をしているんだろう?
まさか、自殺?
気になった通行人が声をかけると、男性は躊躇する様子を見せつつも、事情を話はじめたが、それは驚くべき内容だった。

13歳の遺体

「娘が、友達の女の子を殺したと言っていて……」

通行人は半信半疑ながらことがことだけに、警察へ通報。のちに警察が事情を聞いたところ、父親と一緒にいた高校3年生の娘が、幼馴染の女子中学生の首を絞め殺害したと供述。
警察が付近を捜索したところ、白滝山の砂防堤で倒れている少女を発見、死亡を確認した。

死亡していたのは広島県内在住の中学生、力田実穂さん(当時13歳)。逮捕されたのは実穂さんの家の近所で暮らす江梨子(仮名/当時18歳)だった。

調べによると、この日の午後、江梨子は実穂さんを誘ってこの白滝山へと出かけたという。しかし夕方になっても帰宅しないことから江梨子の父親が白滝山へ迎えに行ったところ、ふもとで動揺している江梨子を発見したということだった。

家が近く、子供のころから姉妹のように仲良く育ってきたという江梨子と実穂さん。ただ最近では、以前のような仲の良さではなくなっていた、という話もあった。

憎うて、たまらんかった

ふたりが小さい頃は本当に仲が良く、おそらく家族ぐるみのような付き合いだったと思われる。
しかし5歳の年の差は、次第に成長のずれとして二人の間に立ちはだかった。
江梨子は大学進学、しかも薬学部を希望していたということからも、平均より勉強ができる少女だったようだが、両親はその進路に反対だったという。
私自身は被害者の実穂さんと同年代だが、確かにその時代、看護師を目指す女子生徒はいても薬学部というのはかなり少なかったように思う。当然ながら薬学部ということなら大学も6年必要で、その分費用もかかる。もしかすると、経済的な事情もあって反対されたのかもしれず、それについてはこの時代おおいに有り得た話である。
彼女らが育った場所は広島県内でも田舎であり、この時代で広島県内の薬学部といえば広島大学か福山大学で、いずれも車で、かつ現在の道路状況なら1時間ほどの距離であるものの、当時の状況、ましてや電車を乗り継いでの通学は片道2~3時間かかり非現実的だった。となると必然的に下宿、寮、一人暮らしとなりそのあたりも女子にとっては家族の理解を得られにくかったかもしれない。

さらに言えば、大学への進学自体を反対されていたのかもしれない。

高校3年の2学期の終わり、もう、時間がなかった。実は事件のあった日の翌日には進路判定作業が始まる予定となっており、この時点で両親との間で話がまとまっていなかった江梨子はかなり焦っていた。
事件の数日前には父親と、そして事件当日の午前中にも母親と激しい口論となっていたという。

その数時間後、江梨子は思いついたように近所の実穂さんを白滝山へ誘った。

被害者の実穂さんも、江梨子同様に成績優秀、性格も朗らかで何の問題もない中学生だった。この昭和の終わり、多くの家には弾ける弾けないは別にしてピアノがあり、実穂さんはそのピアノも非常に上手だったという。
仲良しだったふたりの間に波風が立ったのはその年の春。江梨子が高校3年に上がってからだった。
進路について親と対立した江梨子は、その朗らかな実穂さんの振る舞いが癇に障るようになっていた。実穂さんが何かしたとか、そういった話は出ていない。実穂さんはそれまでと変わらずにいたにもかかわらず、自身の苛立ちの矛先を江梨子に向けられる羽目になった。
それは実穂さんが弾くピアノの音にまで及んだといい、ある時江梨子は実穂さんに直接、「ピアノでイライラする」と告げている。実穂さんはそれ以来、ピアノを弾くのをやめた。

しかしそれ以外に2人の間の問題があったような気配もない。ただひたすら、江梨子は天真爛漫で明るく振舞う実穂さんに勝手にどす黒い感情を募らせていたのか。

報道は江梨子を逮捕したところで終わっている。18歳であるものの、当時の状況を考えれば少年院送致になったと思われるが、江梨子は取り調べで
「実穂ちゃんが憎い。憎うてたまらんかった」
と話している。

白滝山の砂防堤付近には、お菓子の空き箱が残されていたという。実穂さんはあの日、江梨子に誘われておそらく嬉しかったのではないか。姉のように慕っていた江梨子の問題は、おそらくピアノの音が聞こえるほど近いところに住んでいた実穂さん方にも知られていただろうし、実穂さんも江梨子のその苦しみを知っていたから、おとなしくピアノを弾くのをやめたのだろう。
ひさしぶりの幼馴染のおねえちゃんとのおでかけ。ふたりの間にどんな会話があったのかはわからないが、実穂さんのそんな思いとは裏腹に、江梨子の心はもうどうしようもなく黒くなっていた。

【有料部分 目次】

岡山の17歳
吹田市の17歳
大阪市の17歳

片隅の記録~三面記事を追ってpart12~

この記事を転載あるいは参考にしたりリライトして利用された場合の利用料金は無料配信記事一律50,000円、有料配信記事は100,000円~です。あとから削除されても利用料金は発生いたします。
但し、条件によって無料でご利用いただけますのでこちらを参考になさるか、jikencase1112@gmail.comまで連絡ください。なお、有料記事を無断で転載、公開、購入者以外に転送した場合の利用料は50万円~となります。
**********

 

相模原の首吊り遺体

それは、一見よくある首吊り遺体だった。
霊園内の森の散策道にある一本の楢の木からそれはぶら下がっていた。地上約1,3mのところで二股に分かれた枝部分からロープがさがり、木の根元にはロープが重みで緩まないよう、複数回巻きつけられて固定されていた。

遺体は男性、年齢は30代後半から40代といったところか。着衣に乱れはなく、また男性の体格や楢の木の形状などからも、男性が自ら木に登って首を吊ることが可能な状態だった。
ただ、男性の胸には、刃物による傷があった。そして近くには使用されたとみられる刃物も落ちていたのだ。
死にきれなかったときのために、男性が持参したのだろうか?しかし首を吊った状態で遠のく意識の中、自分の胸を複数回深く刺すということが可能なのだろうか。

警察は自殺と事件の両面で捜査を開始、そして7月15日、警察は「霊園内の遺体は息子ではないだろうか」と届け出ていた相模原市内に住む男性から事情を聞いたところ、その男性が息子の自殺を手伝ったという趣旨の話をしたことから男性を殺人容疑で逮捕した。 続きを読む 片隅の記録~三面記事を追ってpart12~

片隅の記録〜三面記事を追ってpart11〜

この記事を転載あるいは参考にしたりリライトして利用された場合の利用料金は無料配信記事一律50,000円、有料配信記事は100,000円~です。あとから削除されても利用料金は発生いたします。
但し、条件によって無料でご利用いただけますのでこちらを参考になさるか、jikencase1112@gmail.comまで連絡ください。なお、有料記事を無断で転載、公開、購入者以外に転送した場合の利用料は50万円~となります。
**********

 

新聞の片隅に小さく載った事件。
発生当初は報じられても、その後を詳しく追うケースは、よほどの重大犯罪でなければ多くない。
あの事件ってどうなったんだっけ。そんなことすら、思われないような事件を掘り起こしてみる。

どの事件にも、物語がある。 続きを読む 片隅の記録〜三面記事を追ってpart11〜

崩れゆく人々~いくつかの家族の結末part2~

この記事を転載あるいは参考にしたりリライトして利用された場合の利用料金は無料配信記事一律50,000円、有料配信記事は100,000円~です。あとから削除されても利用料金は発生いたします。
但し、条件によって無料でご利用いただけますのでこちらを参考になさるか、jikencase1112@gmail.comまで連絡ください。なお、有料記事を無断で転載、公開、購入者以外に転送した場合の利用料は50万円~となります。
**********

 

文京区の無理心中

平成20年2月。東京都足立区の日光街道沿いにある二階建て店舗兼住宅は不穏な気配に包まれていた。
比較的交通量も通行人も多いというその通りに面したその家は、1階の間口がシャッターになっていた。その閉められたシャッターの下から、どす黒い大量の血が流れ出ていたのだ。
通行人の何人かがその異変に気付いていたようだが、誰もがその理解しがたい光景を信じたくなかったのか、通報しなかったという。
午後3時半、ようやく通報がなされ警察官が駆け付けた。シャッターを開けるとそこは、まさに地獄だった。

家の中ではこの家の家族5人のうち3人が死亡、1人が両手首切断という重傷を負っていたのだ。しかも、その後の調べで死亡した父親による犯行と断定された。

当初は家業がうまくいかない事での経済的な事情が原因かとされたが、不動産にまつわるトラブルも抱えていたといい、さらには無理心中を企てた本人が死亡していることからそれが真に明らかにされることはなかった。

その凄惨な事件から1か月後。

今度は文京区で、同じく父親による一家無理心中事件が発生した。しかしこの文京区の父親は、一命を取り留めた。 続きを読む 崩れゆく人々~いくつかの家族の結末part2~

🔓小児性愛者~羽島市・小学2年女児殺害事件~

この記事を転載あるいは参考にしたりリライトして利用された場合の利用料金は無料配信記事一律50,000円、有料配信記事は100,000円~です。あとから削除されても利用料金は発生いたします。
但し、条件によって無料でご利用いただけますのでこちらを参考になさるか、jikencase1112@gmail.comまで連絡ください。なお、有料記事を無断で転載、公開、購入者以外に転送した場合の利用料は50万円~となります。
**********

 

父親は娘に必死の人工呼吸を続けた。生きて、何とか生きて帰って来てくれ。
両親の思いもむなしく、幼い娘は息を吹き返すことはなかった。

娘がいなくなってから36時間。

「なんでこんな……もっと早く返してよ!!!」

気丈にも娘の捜索に携わった人々へのお礼を伝えた父親だったが、その絶望と怒りと悲しみは絶叫となって響いた。

行方不明の女児

平成6年4月7日午後。岐阜県羽島市の福地海ちゃん(当時7歳)が、下校途中に忽然と姿を消した。
その日は4時からピアノのお稽古があり、いつもは学校から自宅に戻り、ランドセルを置いてお稽古へと出かけるはずが、この日は帰宅した様子も、お稽古へ出かけた様子もなかった。
両親は同級生や学校に問い合わせをしたが、海ちゃんの行方は分からず7日の夜7時過ぎに父親が小学校を通じて捜索願を出した。
しかし目撃情報はあやふやなものが多く、警察は誘拐などの可能性も視野に入れていたものの、海ちゃんの自宅に身代金の要求などの電話もないことから事故の可能性が高いとし、市の防災無線で呼びかける公開捜査を開始した。
報道各社に捜査協力の依頼があったのは、事件の翌日だった。

ところが4月9日、事件は突如動いた。
羽島市内の公園で、変わり果てた姿の海ちゃんが発見されたのだ。その後の司法解剖の結果、海ちゃんの胃の中にはその日の給食がほとんど消化されずに残存していたことから、行方不明になった日の夜もしくは翌日の未明に殺害されたと断定。
そうなると犯人は海ちゃんを拉致した後、さほど時間を置かずに殺害したことになる。この時点で、海ちゃんの自宅には誘拐をにおわせるような身代金要求の電話などはなく、なぜ海ちゃんが狙われたのか、そして何のために殺害されたのか全く分からなかった。
最近では未成年者、特に児童が被害者になる事件の場合はわいせつ目的がまず頭に浮かぶが、この時代は甲府信金の女性職員誘拐事件や北海道石狩の女子高生誘拐事件など、身代金目的の誘拐事件が起こっていたこともあり、捜査の手法なども現在とは違っていたと思われる。

ただ、この発見に至る経緯には不可解な一本の電話の存在があった。

気味の悪い電話

「なんですか?どこの公園ですか。知ってみえるんですか?」

遺体発見の約4時間前。海ちゃんの自宅に一本の電話がかかってきた。時刻は午前4時半ということで、明らかに電話をかけるには不自然な時間であり、自宅で両親らを支えていた友人が応対。すると、電話の相手は不可解な言葉を発した。

「公園。」

男はその声から、20代くらいの若者に思えた。小さな囁くような声で、「公園」「近く」と告げた。友人が「新生公園?」と問いかけると、それに対しても「そう」とだけ答えて電話は切れた。約30秒の通話だった。
その電話をもとに、警察が新生公園(正式には足近新田公園)を調べたところ、公園内のトイレから海ちゃんの遺体が発見されたのだった。
警察は、事件後に海ちゃんの自宅に録音設備を配置し、録音していた。電話の主が犯人もしくは何らかの関与をしているとしてその録音の公開、広く一般からの情報を求めた。
愛知県警科学捜査研究所によると、声の主は30代以下の男性で、背景に音がなかったことから公衆電話からかけられたものと断定。
また発見された当時の海ちゃんは衣服を身に着けていたが、それに土汚れなどがなく、また当日は雨が降っていたにもかかわらず雨水もついていなかった。そのことから、犯人は海ちゃんを拉致した後、車などに連れ込み殺害し、遺体を別の場所に移したりすることなく時間をおいて遺棄したとみた。
警察は不審車両などの割り出しを行ったが、犯人に結び付くような情報はなかなか得られないでいた。

さらに、当初寄せられていた目撃情報のほとんどにおいて、その信頼性が揺らぐという事態も起きていた。

錯綜

海ちゃんは7日の午後2時50分ころ、黄色の傘をさして学校の東門を出て行くところを同級生の男児に目撃されていた。
その後は通常ならピアノのお稽古のためにいったん帰宅してから再度出かける予定が、当初、学校を出た後の海ちゃんと、自宅の逆方向にあるコンビニの前で会った、という同級生女児の証言があったという。しかも、その後午後4時前にはそこから200m離れた稲荷神社まで一緒に行ってそこで別れたという具体的なものだった。
捜査本部はその情報をもとに午後4時以降の海ちゃんの足取りを追ったが、コンビニ周辺、稲荷神社周辺で海ちゃんを見かけたという目撃情報は皆無で、事件発生から5日目の12日にはその目撃情報自体を再度検証することとなった。

多くの目撃情報は、学校が土日だったこともあって学校側が聞き取りをしてまとめたものだったという。さらに、警察が重視していた稲荷神社まで一緒に歩いたという女児の証言は、間に女児の母親が介在しており、警察からの質問を母親から聞いてそれに対して返答しただけというものだった。
非日常な出来事が身近で起きると、子供は大人たちが求める答えを話そうとすることがある。ましてやそれが親や警察といった相手だと、力になることで褒められたいという気持ちもあろうし、事の重大さがわからなかったとしても不思議ではない。

しかし結果として、捜査は振出しに戻るどころか、1週間も経過してしまったことで人々の記憶がさらにあいまいになってしまった。
市民の間でも、「昨日聞いてきた場所と今日聞いてきた場所が反対方向だったりする。警察は何をしているのか」といった不信感を持つ人も増えていた。

犯人の目星がつかない中、報道でも警察の初動に対する批判もあった。
警察は、通常子供が行方不明になった際にはわいせつ目的の連れ去りや身代金目的の誘拐も視野に入れてしかるべきのはずが、海ちゃんの場合、警察は自宅に逆探知の装置を置いていなかったという。当初より、事故の可能性に重きを置いていたことの表れでもあり、結果として犯人とおぼしき男からの電話がかかってきた際にも、録音するにとどまり逆探知はできなかった。

そんな捜査を嘲笑うかのように、4月20日には岐阜市の路上で小学二年の女児が若い男にランドセルを掴まれるという事件が起きた。
幸い、女児が大声を出したのを近くにいた人が聞きつけ飛び出したことで男は逃走したという。
現場は海ちゃんの事件からは10キロほど離れた場所で、事件の関連性は分からなかったものの、同じ時間帯、同じ下校中の低学年女児が被害に遭っていることなどから警察は関連性も排除せずに捜査を続けた。

そして4月30日、捜査本部は同じ羽島市内に暮らす20歳の無職の男を発表した。

【有料部分 目次】
錯綜
それまで
雨の日の午後
快楽殺人者
判決
家族という地獄絵図