嗤う男の化けの皮~藤沢市・OL放火殺人事件③~

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娘の決意

美穂さんは2度目の家出以降、傍目にもふさぎ込むことが増えていた。
中学時代からの親友のAさんによれば、「いつも監視されていてどうやって逃げればいいのかわからない」と美穂さんがうなだれていたという。
Aさんはそれまでも、美穂さんの体の傷のことなどを心配し、友人として見守ってきた。ただ、佐々木によって交友関係を制限されていたため、深く知ることは難しかったようだ。
秋以降、Aさんが自身の結婚式のことなどの相談で美穂さんのアパートを訪れることがあった。その際、美穂さんは佐々木と別れたいということをはっきりと口にしていたという。 続きを読む 嗤う男の化けの皮~藤沢市・OL放火殺人事件③~

嗤う男の化けの皮~藤沢市・OL放火殺人事件④~

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汚名

「娘さんのことで話がありますので連絡をください」
父の会社に藤沢北署から連絡がきたのは、14日の午後3時ころだった。
外に出ていた父親は、そのメモを見て胸騒ぎをおさえつつ急いで電話を掛けた。そして、最愛の娘が死亡したことを知った。

母親が娘の死を知ったのはさらに後になる。携帯電話が普及していなかった時代、社員旅行で夕方藤沢に戻った母は、駅に迎えに来ると言っていたはずの娘と連絡が取れず、結局一人で家に帰った。しかし家には誰もおらず、どうしたのかと思っていたところへ、娘の死が知らされたのだ。 続きを読む 嗤う男の化けの皮~藤沢市・OL放火殺人事件④~

嗤う男の化けの皮~藤沢市・OL放火殺人事件⑤~

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いけしゃあしゃあ

美穂さんの父は、美穂さんが埋葬されて以降、毎日欠かさず花を持って美穂さんの墓へ行き、そこで語り掛けたり本を読むなどして美穂さんと過ごしてきた。

民事裁判を起こした後の平成10年、一度美穂さんの眠る墓地で父は佐々木と行き会ったという。
父の横を素通りした佐々木は、美穂さんの墓にぺこっと軽く頭を下げた。
父は心を鎮め、佐々木に向き合ってこう伝えた。
「何が起きたのかを知りたい。だからあなたを訴えました。」
すると佐々木は、
「真実を話しているつもりですけどね。(地裁の民事裁判で自分が敗訴したとしても)高裁も最高裁もありますから。」
と事も無げに言い放った。
不安な自分を強がっているようにも思えるし、諦めようとしない両親に対し、侮蔑的な意味でのまぁせいぜい頑張れよ、という風にも聞こえる。
ただ、墓地で佐々木と対峙した父親は、
「彼はもしかしたら、美穂に許しを請いに来たのかもしれない」
と複雑な、そして佐々木の人間の心に一縷の望みを託していた。 続きを読む 嗤う男の化けの皮~藤沢市・OL放火殺人事件⑤~

嗤う男の化けの皮~藤沢市・OL放火殺人事件⑥~

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月日の流れ

事件が起こった当初は、この事件はそれほど大きく報道はされなかった。当時の新聞などを見ても、比較的小さな扱いにとどまっている。
先にも述べたように、あくまで若い男女の無理心中といった論調で、佐々木の証言に沿ったものだった。
しかし、民事で有罪認定がされたことで報道される機会も増えていく。美穂さんの両親からすれば事件の風化を防ぐ意味合いでは喜ばしいことだったが、同時に世間の批判にもさらされた。 続きを読む 嗤う男の化けの皮~藤沢市・OL放火殺人事件⑥~

善き人の、誰も知らないためらい傷~桑名市・家族2人放火殺人事件~

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平成18年2月13日

子どもたちが集団登校し始めた月曜日の午前8時。
畑が広がるのどかな桑名市長島のこの一帯では、冬の寒さの中、早朝から畑仕事に勤しむ人々の姿も見られた。
天気予報は、日中の気温が15度近くまで上がると告げており、冬独特の乾燥した一日になると予想された。

その日、男性はいつものように自身が栽培した野菜を市場へと出荷し、自宅に戻ってきた。
家には先週末から体調を崩している次男坊が寝ているはずだ。
家につくと、ふと、なにかにおう気がした。誰か朝から野焼きでもしているのだろうか。

男性は違和感を覚えながらも玄関の戸を開けた。

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