私を捨てるなら、死んで。~木更津年下夫殺害死体遺棄事件③~

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光子と私

私は光子と似ている。30代半ばで離婚し、子供を連れてバツイチになった。その後、職場に出入りしていた9歳年下の現夫と再婚しているが、光子と同じように当初は周囲の反対があった。
とはいっても、私の場合は反対していたのは私の愚かさを知っていた私の両親であり、夫に対して「こんな娘ではあなたが苦労する」といって反対していたのだ。
また、夫の両親、兄、親類はなぜか私を好いてくれた。一度は極道の世界にまで足を踏み入れた息子には、年の離れた姉さん女房がちょうど良いと思ったのかもしれない。

結婚して7年になるが、幸い、夫は高校生になる私の息子の良き理解者として、今もしっかりと家族の大黒柱でいてくれているし、夫としても私にちゃんと向き合ってくれていると思っている。

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京都・伏見認知症母親心中未遂事件その顛末①

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2006年、2月。

その日は冷たい雨が降っていた。54歳になる息子は、86歳の母親の車いすを押しながら、思い出深い京都・伏見の桂川遊歩道を歩いていた。
まだ人影もない、真冬の早朝。ふたりは前日の夜中から、あてもなく極寒の冬空の下を彷徨っていた。

「もう生きられへん、ここで終わりやで」
そういう息子に、母は動揺もせずに答えた。

「そうか、あかんか。」

母との最期の言葉をかわし、息子はその母の首に手をかけた。

数時間後、自身も首を切って自殺を図った息子と、息子のそばで息絶えた母親が発見された。息子は死にきれなかった。

京都・伏見で起きたこの事件は、認知症の年老いた母親をたったひとりで抱える息子の苦悩と、福祉サービスの限界などもクローズアップされ、他人事ではないと感じる多くの人から同情が寄せられた。

判決は、懲役2年6か月、執行猶予3年という入れとも言える温情判決であった。
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🔓京都伏見認知症母親心中未遂事件・その顛末②

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行政、福祉とのすれ違い

康晴は、仕事を完全にやめてしまう九月までの間、何度か生活保護の申請のため福祉の窓口を訪れていた。 現状では近い将来、間違いなく収入が途絶えてしまう。働く意思は十分にあるが、何よりその仕事がない。
誤解の内容に、だが、仕事がないという意味は、康晴と母親の生活スタイルを考慮したうえで、母子が最低限生活していけるだけの収入を得られる仕事、という意味だ。
自分の食べることより、とにかく母親の生活を維持しなければならないという思いがことのほか強かった康晴は、「良かれと思い」先に福祉窓口へ相談に行ったのだろう。
しかし、後から考えると、この相談に行ったタイミングが悪かった。
そして、そのタイミングの悪さゆえにマニュアル通りの対応に終始してしまった福祉の窓口は、後に総バッシングされる羽目になる。

【有料記事 目次】
・母の回復と自分の死
・そして最期の夜へ
・裁判
・温情判決の是非

ここからは有料記事です

🔓町田DV殺人事件

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平成19年5月6日。

町田市森野2丁目のとある2階建てアパートの一室で、結婚間もない夫婦が暮らしていた。
当時34歳の夫・仁志は、健康食品会社に勤務しており、28歳の妻は細身の美人で福島の出身だった。 何の変哲もない、ごくごく普通の若い新婚夫婦に見えたが、妻はその外見からは想像がつかない一面を持っていたという。
入籍からわずか3か月後のこの日、夫は妻の細い首に手をかけ、そのまま殺害してしまった。 犯行後、夫は冷静に知人に事の顛末を電話し、さらには予定していた新婚旅行と挙式のキャンセルを業者に伝え、自身は自宅の外で警察官の到着を待ったという。 計画的に見えるこの殺人事件。この夫婦に何があったのか。

出会いと、妻の抱える病

仁志が妻と出会ったのは平成18年の夏。たまたま居合わせた居酒屋で、彼女の方が声をかけてきた。
可愛らしい顔立ちに惹かれた仁志は、電話番号を交換し後日デートをする。そして、その後すぐに同棲をはじめ、翌平成19年の2月には入籍まで済ませるほどの早い展開だった。

結婚を強く望んだのも妻の方であった。当初から仁志に対して強い愛情を示していた妻だったが、そのうち異様な側面を見せ始める。
「最初は普通の人だった」 とは、夫・仁志の弁である。若く可愛い妻は、かねてより仁志のことを知りたがり、常に一緒にいたいという考えを持っていたが、それらは女性にありがちな甘え願望によるものであり、すべては愛情がさせていることだと思っていた。
過去に付き合っていた女性のこともひどく気にし、卒業アルバムなどで顔と名前を確認したりもしていたが、それらもやきもちの一種とも思えた。

しかし、だんだんと妻は理解しがたい言動を見せるるようになる。 ほんの些細なことでスイッチが入り、途端に不機嫌になり怒り始めるのだった。
理由は様々だったが、「部屋が寒い」「会話が減った」「メールの返信に絵文字がない」といった、他人には到底はかりようのない彼女の基準によるものだった。
その感情の振れ幅は次第に大きくなり、部屋中のものを投げつけたり、家具を壊す、押さえつけなければならないほどに暴れる、果ては自傷行為にまで及んだ。 夫・仁志は当初知識もなかったため、とにかく抱きすくめて妻の感情が静まるのを待つほかなかったが、妻が「パニック障害」を持っていることを打ち明ける。そこで初めて、妻の病を知ることとなったのだ。

しかし、妻が抱えていたものは、「パニック障害」だけではなかった。

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