🔓悪魔は、誰だ~前橋・1歳女児悪魔祓い暴行死事件~

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取調室で、母親は自身が述べた供述調書を前に、固まっていた。

「間違いがなければ署名してください。」

私は間違っていない。「正しいこと」を言ってきた。この長い間、ずっと。
あの子を思い、ただひたすらに、あの子のために私たち家族のためにしてきたことだ、それが間違いのはずがない。
「正しいこと」を言わなければ、先生に背くことになる。先生が困ることは、「正しいこと」とは言えない。だから私が疑われても、家宅捜索をされても応じてきた。

でも、でも、「正しいこと」は、「本当のこと」とは違う……

「すみません、本当のことが書かれてないので、サインできません。」

取り調べに当たっていた刑事たちはこの後、母親がおよそ6年越しに語り始めた事件の真相に驚愕することになる。

悪魔は、誰だ。

【有料部分目次】
6年前の「死亡事故」
解けた母
発端の心霊写真
神の手、神の子
平成23年5月2日
家族
掲示板の告発
完全否定
悪魔にとらわれた女

🔓惨劇の朝、消えた日本刀~下関・日本刀11人殺傷事件~

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惨劇の朝

昭和60年9月19日、午前5時45分。
下関市員光町のはずれのその家では、老母(当時72歳)がすでに起きて朝の家事に取り掛かろうとしていた。
老母は昭和50年に夫と死別したのちは、37歳になる息子との二人暮らしだった。
一週間ほど前から始まった屋根の葺き替え工事のため、職人たちがやってくる。9月とはいえまだまだ暑い。農作業もいろいろとしなければならないことがあった。
同居の息子も起きだしていた。畑の肥料の話をした後、老母は便所へと向かい、用を足して出てきたその時だった。

崩れ落ちる瞬間、老母はそれを見ただろうか。

血を噴きあげて絶命した老母を、男は無言で見下ろしていた。その手には、日本刀が握られていた。

※以下、有料部分について無断での転載、動画シナリオ利用はお断りします。

🔓ダウト~練馬・3歳女児傷害致死事件~

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福岡篠栗町で起きた5歳男児虐待餓死事件。
逮捕起訴された母親の裁判はすでに一審判決が出たが、この事件にはもう一人の母親の存在がある。
被害男児の母親が涙ながらに罪を認め、自分の愚かさを今更ながらに深く後悔している一方で、もう一人の母親は自身の裁判のことしか頭になかった。

被害男児の母親の裁判で証言台に立ったものの、自身の裁判が控えているので何もしゃべりません、と言い放った。

彼女は、被害男児の母親のママ友だった。

逮捕起訴され、本人はどう思っているのか。
求刑を大きく下回る判決となった被害男児の母親。これはある意味ママ友からの洗脳、影響が大きく関係していると認定されたに等しい。
となると、ママ友の裁判は非常に厳しいものになるのでは、という予想もされる中、過去の事件を見ていくとなかなかママ友による唆しや洗脳といったことの証明の難しさも見えてくる。
ましてや、そのママ友が致命傷を与えたと言い切れなければ、傷害致死すら、危うい。

平成17年、練馬区で当時3歳の女の子が激しい虐待の末に意識を失い、病院に搬送されるもその18日後に死亡するという痛ましい事件があった。
当初、逮捕されたのは母親。しかしすぐに処分保留で釈放となり、代わりに逮捕されたのは、母親の女友達だった。
のちに二人とも傷害致死で起訴されたが、その顛末は何から何まで胸糞、そして、ママ友(というか女友達)、心理的な問題のある事件の難しさを突きつけるものとなった。

「八月の母」と伊予市団地内少女監禁暴行死事件

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先日Twitterで「八月の母」を読んで感想を書いてほしい、という話があった。
この、「八月の母」を書いたのは悲しきデブ猫ちゃんで愛媛新聞購読者にはお馴染みの、早見和真氏である。
早見氏のことは皆さん検索していただくとして、この「八月の母」という本は実に事件備忘録的な本であり、完全なフィクションではあるけれど、実際に起きた事件がベースとなっている。

平成26年八月のあの日、私は夫の実家のある久万高原町にいた。夕食の準備をしながら見ていたニュースに、全員が「これ、ちょっと……」と言ったきり言葉をなくした。
伊予市の市営団地の一室で、若い女性の遺体が発見されたというニュースだったが、その時点でそれが集団によるリンチの末の死であること、女性が監禁状態にあったことなども併せて報じられていたからだ。

年代的に私は綾瀬のコンクリ事件を思い出した。
被害者は松山市内の10代の女性で、逮捕されていたのが現場となった団地の一室の主である女と、その子供たちが含まれていたことも衝撃だった。
団地、家出少女、未成年者のたまり場、シングルマザー、もうこれだけでお腹いっぱい的な話ではあるが、私はこれが「伊予市」で起きたことにも実は重きを置いていた。
事件の全容は、未成年者がかかわることもあってかなり抑えめだったように思う。途中からは主犯とされた母親の名前さえ伏せられることもあった。
報道をつなぎ合わせれば、たまり場と化していたその団地の一室に、いつからか入り浸るようになった被害者が、家族の感情のはけ口にされ日常的に暴行されるようになり、歯止めが利かなくなった末に命を落とした、というもの。
殺人ではなく、傷害致死である。集団心理という言葉も取り上げられた。

その事件をもとに書かれたのが、「八月の母」である。

この本は、フィクションではあるものの作中には実在する町の名前がでてくる。地元の人間ならばどこなのか、どの店なのかまでわかるほど、場所を意識して書かれている。それが、事件備忘録でよく話題になる「場所と事件の関係性」を意識させ非常に興味深く読んだ。
内容的に結構なネタバレになることはあらかじめお断りするとして、実際の事件と私が生まれ育った愛媛を取り混ぜながら本の紹介と読書感想文を書いてみる。

以下、ネタバレOKな方のみお進みください。嫌な人はまず本を読もう。
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火車~豊田町・一家無理心中事件外伝~

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弁護士事務所にて

平成267月、その弁護士は若い女性から相談を受けていた。
女性は母親を伴って訪れていたが、その相談内容は、母親についてのものだった。

「母が私のためにお金を払い続けています。もうやめさせてほしいんです」

女性によれば、自身の就職あっせんをしてくれている母親の友人に対し、母親が長年にわたって金銭を支払い続けているのだという。しかし女性の就職はいまだ実現しておらず、またその支払った金額が高額であることなどから、無意味なことをしているのではないか、という相談だった。

聞き取りを行った結果、その内容はにわかに信じることができないような異様なものだったが、その時は相談、という形で女性と母親は帰っていった。

年が明けた平成273月、再び女性と母親が相談に訪れた。内容は昨年の夏の相談とほぼ同じで、夏ごろには騙されているという認識の薄かった母親も、ここへきて親せきらからも騙されているという指摘を受けていた。
実際に夏に相談して以降、友人に対して金を払い込むのをやめていた。

ところが、312日になってその友人から、
「(就職あっせんを)やめるにしてもお金がかかる。今やめたらこれまで支払った分の1/5も戻ってこないし、戻ってきた金も損害賠償にあてられる」
という連絡がきたことで、改めて相談に訪れたとみられた。

相談を受けた弁護士の目にも、詐欺事件に巻き込まれていることは明らかだったようで継続して相談に乗る、そう方針立てた矢先、信じられない事件が起きた。

5月、豊田市太田町の民家で火の手が上がった。焼け跡からは一家3人の遺体が発見される。それは、あの相談に来ていた若い女性とその母親が暮らす家だったのだ。
さらに衝撃的な真実を知らされる。火災は失火ではなく、放火であり、かつ、火が出る前に祖母を含めた3人は殺害されていたというのだ。そして、殺害と放火で逮捕されたのは、あの相談に訪れたふたりの父親であり夫である男性だったのだ。 続きを読む 火車~豊田町・一家無理心中事件外伝~