怨焔~大胡町・不倫仲裁逆恨み隣人焼殺事件

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平成8年5月2日

群馬県勢多郡大胡町。
とある民家のガレージから火の手が上がった。
隣人らの通報で消防と警察が駆け付けたが、ガレージでその家に暮らす女性と思われる焼死体が発見された。

その数時間後、赤城山の大沼近くの旅館から、沼に車が突っ込んだ、という通報も入った。
しかも、「人を殺したと言っている」とのこと。
赤城大沼に突っ込んだ車は白の乗用車で、大胡町の現場から急発進して逃走した車も、白の乗用車だった。

捜査の結果、一命をとりとめた白い乗用車の運転手の男が、元交際相手だった大胡町の女性にガソリンをかけて焼き殺したと判明。
男の回復を待って、5年後の平成13年月に逮捕となった。

この事件、地元の人らの間では忌まわしいある過去の事件を思い起こさずにはいられなかった。

昭和の終わり、この事件と同じような事件がこの大胡町で起きていたのだ。

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🔓嗤う霊能者~酒田市・男性傷害致死死体損壊遺棄事件~

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平成13年9月20日午前4時

秋田県由利郡象潟町の原野で女がひとり佇んでいた。
しばらくすると、女は自分が乗ってきた自動車に火を放ち、立ち去った。

「一緒に死のうと思ったが、死にきれなかった」

後に女はこの時の心境をこう供述している。
女が火を放った自動車には、女が長年連れ添った夫の遺体が載せられていた。

【有料部分 目次】
事件
横山家
狂気
長男の妻と、山形の女霊能者
やるせない結末
思い出の原野

特集:🔥4つの家族の事件簿🔪

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家族とは。

読者の皆さんは、どんな家族を持っていますか。
幼い頃から不遇な生活を送り、お世辞にも恵まれていたとは言えないけれど、精神的には家族のことが好きだという人、一方で経済的な問題はなくとも、寒々とした家庭しか知らずに来たという人、その両方を良くも悪くも兼ね備えた人。

私は今でこそ家族とのつながりは良好ですが、幼い頃を母親となった今振り返ると、経済的には非常に恵まれていましたが私の両親は毒親であったと言えます。

後期高齢者に差し掛かった両親は、今ではそれを悔いているところもあるようですが。

しかし事件が起こる過程というのは、すべてがそのように膿を抱えている家庭ばかりとも限りません、ある意味、健康であったはずの家庭のほうが、耐性がないというのか、崩れるときはあっという間、ということも。
良き母親が、良き父親が、何かのきっかけで子を道連れにしてしまう、あるいは、家族を思うがあまりに暴走してしまう、そういったケースは少なくありません。

家族のうちの誰かの心の闇が、ほかの家族を巻き込むケース、そこには思い込みや親子一体、言ってしまえば自分勝手な動機が介在していることもあります。
しかしもうその時は、それしかないと思い込んでしまっていることから、未然に防げない、他の家族の誰も気付けない、そんなことが重なって悲劇が起こるということが多いように思われます。

今回は、事件そのものは小さな扱いのものでも、その背景が特殊なケースを集めました。

思い込み~江東区・二児殺害事件~
親でもなければ子でもない~杉並・一家4人殺害放火事件~
堪忍してね、母さんもすぐ逝くから~文京区・母子無理心中事件~
誤算~赤穂・祖父母殺害事件~

堪忍してね、母さんもすぐ逝くから~文京区・母子無理心中事件~

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昭和63年5月24日午前9時

文京区小日向の営団地下鉄丸ノ内線茗荷谷駅ホーム。
ふらふらと中年女性がホームに歩いてきた。
その視線は虚ろだったが、どこか目的を持ってその場にやってきた、そんな印象だった。

通勤ラッシュが終わった時間、それでも電車のを待つ人は多く、その多くの人は女性のことなど気にもしていなかった。

電車が入ってくるアナウンスが流れる。荷物を持つ人、歩き出す人の合間を縫って、女性はそのまま電車に飛び込んだ。

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🔓誤算~赤穂・祖父母殺害事件~

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平成28年2月5日午後1時過ぎ

兵庫県佐用町の土木建設会社。
社長の携帯に、従業員の男性から電話がかかってきた。
電話の主は、1年前に高卒で就職してきた19歳の男性社員。社長はその男性社員のことをとある事情からいつも気にかけていた。

「祖父が透析治療に行ってないと母から連絡が来ました。会社の車で家に戻っていいですか?」

男性社員の家庭の事情を知る社長は快くそれを了承した。若いのに、まじめで家族思いの男性社員。ある時は、夜通し病弱な祖父の背中をさすっていたと聞く。社長はいつも感心して見ていた。

しかしその時、すでにその男性社員の手は、夥しい血で染まっていた。

事件

平成28年2月5日午後1時25分頃、兵庫県赤穂市西有年の民家で、その家で暮らしていた夫婦が血まみれで倒れていると、仕事先から戻った同居する孫の男性が110番通報した。
警察官が駆け付けたところ、家の中のリビングで、普段着姿の初老の男女二人が倒れており、すでに死亡していた。

亡くなっていたのは、豊住信夫さん(当時69歳)と、妻の初美さん(当時64歳)で、いずれも死後数日内、と見られた。
ふたりにはそれぞれ頭部や胸、背中などに刺し傷や切り傷があり、部屋には荒らされたような跡もあった。玄関や勝手口もカギは開いたままだった。

第一発見者で通報者でもある孫の男性によれば、信夫さんは週に3回透析のため病院に通っていたといい、その日、信夫さんが透析に現れないことから病院が親族に連絡、その親族を通じて、同居する孫の男性に連絡がきたということだった。
孫はその日朝から出勤しており、その電話を受けて自宅へ戻ったところ、倒れている祖父母を発見した、という話だった。

捜査本部では、強盗ではなくトラブルの可能性が強いとみて、信夫さん、初美さんの交友関係やトラブルがなかったかなどを重点的に捜査していたが、6日になって、孫の男性がふたりを殺害したことを認めたとして殺人容疑でその孫を逮捕したと発表した。

逮捕されたのは、信夫さん夫婦の娘の子であるA少年(当時19歳)。
Aは、2月3日午後3時以降、発見される5日の午後1時25分までの間に何らかの方法で信夫さん夫婦を殺害したとみられた。
その後、本人が「3日の夜に頭などを殴った」「3日の夜から外出して家に戻っていない」と話していたことから、夫婦は3日の午後3時以降その夜にかけて殺害されたとした。

山間の静かな集落で起きた凄惨な老夫婦殺害。その犯人は、まさかの「心優しき孫」だった。

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【有料部分目次】
少年
その日
世間の同情
甘え
自由