嗤う男の化けの皮~藤沢市・OL放火殺人事件⑤~

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いけしゃあしゃあ

美穂さんの父は、美穂さんが埋葬されて以降、毎日欠かさず花を持って美穂さんの墓へ行き、そこで語り掛けたり本を読むなどして美穂さんと過ごしてきた。

民事裁判を起こした後の平成10年、一度美穂さんの眠る墓地で父は佐々木と行き会ったという。
父の横を素通りした佐々木は、美穂さんの墓にぺこっと軽く頭を下げた。
父は心を鎮め、佐々木に向き合ってこう伝えた。
「何が起きたのかを知りたい。だからあなたを訴えました。」
すると佐々木は、
「真実を話しているつもりですけどね。(地裁の民事裁判で自分が敗訴したとしても)高裁も最高裁もありますから。」
と事も無げに言い放った。
不安な自分を強がっているようにも思えるし、諦めようとしない両親に対し、侮蔑的な意味でのまぁせいぜい頑張れよ、という風にも聞こえる。
ただ、墓地で佐々木と対峙した父親は、
「彼はもしかしたら、美穂に許しを請いに来たのかもしれない」
と複雑な、そして佐々木の人間の心に一縷の望みを託していた。 続きを読む 嗤う男の化けの皮~藤沢市・OL放火殺人事件⑤~

嗤う男の化けの皮~藤沢市・OL放火殺人事件⑥~

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月日の流れ

事件が起こった当初は、この事件はそれほど大きく報道はされなかった。当時の新聞などを見ても、比較的小さな扱いにとどまっている。
先にも述べたように、あくまで若い男女の無理心中といった論調で、佐々木の証言に沿ったものだった。
しかし、民事で有罪認定がされたことで報道される機会も増えていく。美穂さんの両親からすれば事件の風化を防ぐ意味合いでは喜ばしいことだったが、同時に世間の批判にもさらされた。 続きを読む 嗤う男の化けの皮~藤沢市・OL放火殺人事件⑥~

🔓淋しくて淋しくて~仙台・同僚女性殺害事件~

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平成19年6月15日午後8時

その夜、男性は仙台市若林区のとある有料駐車場に停めてある一台の軽自動車の前で立ち尽くしていた。
その車は、男性と5月に入籍したばかりの妻のものだったが、実はその妻とは、前日の夜から連絡が取れていなかった。
男性は会社を休んで妻を捜していたところ、夕方になって仙台南署から「大和町の契約駐車場に、お宅の車が勝手に停められている」と知らされ、急いで現場にやってきたのだった。

車はフルスモーク仕様だったため、外から中の様子は全く覗えず、さらに合い鍵は妻の母親が持っていたことから、男性は妻の母親に連絡し、到着を待っているところだった。

午後8時過ぎ、駆け付けた妻の母親と姉が車のロックを解除しドアを開けると、前の座席のシートが後ろに倒され、中には誰も乗っていなかった、ように見えた。

後部座席を確認した瞬間、母親と姉の悲鳴が上がる。男性はその場で腰を抜かした。
後部座席の陰に、妻がいた。その姿は激しく顔面を損傷し、さらには全裸であった。

事件概要

平成19年6月15日夜、仙台市若林区の契約駐車場内で、宮城野区蒲生東屋敷添在住の会社員、近江由希子さん(当時27歳)が、顔面から血を流して死亡しているのが発見された。
近江さんは14日夜、勤務先である大和町のスーパーつかさ屋大和町店を午後10時ころに退社。
しかし自宅に戻っておらず、同じスーパーの系列店に勤務する夫の貴信さん(仮名/当時31歳)が携帯電話に連絡するも、圏外だったという。
その後、15日の朝になって、由希子さんが勤務するスーパーから300mしか離れていない契約駐車場に、由希子さんの車が無断駐車されていたことから管理者が仙台南署に通報、午後6時半ごろ警察から貴信さんに連絡が入った。

由希子さんは発見当時全裸で、着ていたとみられる洋服や靴、食料品が入った勤務先のスーパーのレジ袋は車内にあったが、鍵と携帯電話、財布がなくなっていたことが分かった。

司法解剖の結果、由希子さんは顔面等を激しく殴られてはいたが、死因は窒息死であった。口と鼻を押さえつけられたような跡や、首に絞められたような跡もあったという。

由希子さんは普段、7キロほど離れた自宅アパートから車で通勤しており、スーパーの社員用駐車場に車を停めていた。したがって、この日も一旦は自分の車でスーパーを出ていると思われたが、近くの道路に設置されているNシステムには車が写っていなかったことから、勤務先から比較的近い場所で殺害され、すぐさま発見現場の駐車場に車ごと遺棄されたとみられた。
車は15日の午前4時半にはすでに現場の駐車場に停められているのを管理会社が確認している。

また、由希子さんの脱がされた着衣には一部泥が付着していた。ジーンズと下着が濡れていたことからも、当初は屋外で暴行され、その後車に乗せられたとみられていた。
発見時は後部座席にあおむけの状態だったが、助手席にも暴行後に一旦乗せられた形跡があったという。
しかし、その後の捜査で、由希子さんは最初から助手席に座っており、そこで運転席に座っていた人物に暴行を受けたとわかった。
さらに、由希子さんが抵抗したような様子がなかったことから、顔見知りの人物にいきなり襲い掛かられたとの見方が強まった。
助手席に残されていた由希子さんのカバンの中には、現金数万円が見つかっており、強盗などの犯行ではないというのも、「顔見知り」かつ「金以外の目的」での犯行と推察される根拠となった。

脱がされた衣類は、殺害後にわざと脱がせたとみられ、性的暴行の所見もなかったことから、犯人が偽装目的で服を脱がせた疑いも強まった。

6月19日、宮城野区内で執り行われた告別式では、貴信さんが涙ながらに「由希子を守ってやれなかった」と述べた。

しかし、捜査はその後なかなか進展を見せなかった。
犯人逮捕の一報が流れたのは、事件から3か月ほど経過した頃だった。

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【有料部分目次】
犯人逮捕
略奪愛
不可解な女
女尊男卑の家系
丸出しの嫉妬心
別れた女からの説教
事件の夜
勘違いの自己評価
裁判
真紀の心

DV女と逃げなかった男の愛の水中花~岩国・交際男性殺害事件~

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平成26年6月10日

広島市南区の路上で、中年の男性が家から飛び出してきた。
そのすぐ後を、同じく中年の女性が追いかけ、その男性を捕まえると家の中へと戻っていったのを通行人がその一部始終を見ていたが、どこか乱暴というか、男性と女性の関係に異様な雰囲気を感じさせていた。

「家に帰りたい・・・」

男性は力なく呟いた。

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🔓郵便局員が繰り広げた禍々しき愛の劇場~八尾市・妊婦襲撃事件~

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平成9年4月14日午後7時40分


大阪府八尾市南木の本4丁目。
仕事を終えてバスで帰宅した女性は、自宅近くのバス停から徒歩で自宅マンションへと向かっていた。
距離にしておよそ300メートル。いつもと変わらない、帰り道だった。

自宅マンション手前で、不意に背後から誰かにぶつかられた。
何か圧迫されるような、妙な感触を覚えた次の瞬間、それは激しい痛みとなって女性を襲った。
わけがわからないまま、女性は必死でマンションの階段を上る。もう少し、もう少し・・・
とめどなく流れる血をおさえることもできないまま、必死に自宅マンションのドアを叩いた。いつも女性より先に夫が帰宅しており、その日も夫は家にいた。

「誰かに刺された」

夫がドアを開けると、血まみれの妻がそういって両膝をつき、そのままおなかを庇うように仰向けに倒れた。
すぐに病院へ運ばれたが、おなかの赤ちゃんはすでに死亡していた。

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