片隅の記録〜三面記事を追ってpart2〜

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千葉の転落死

「あんたはヒモのくせに。私には強い味方がいるんだ。この部屋の家賃は私が払っている。早く出ていけ!」

女は出勤前の慌ただしさも手伝って苛立っていた。
もう本当に限界。何でこんなジジイと結婚してしまったんだろう。日本人は働き者のはずだったのに。
仕事もしないでゴロゴロして、私の稼ぎにぶら下がっているジジイなんかいらない…
ていうかさっきから何をゴソゴソしているんだろう。何もかもがあーもう。腹が立つ!

「早く出てってよ!」

振り向いたその時、体に衝撃があった。

「?」

ふと見れば、体の胸あたりから、血がとめどなく溢れていた。 続きを読む 片隅の記録〜三面記事を追ってpart2〜

崩れゆく人々〜いくつかの家族の結末〜

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遠くから、夜、街の灯りを見ていると途端に恐怖に襲われることがある。

目に見える範囲に、数えきれない窓があり、そこに灯りが見えればその数だけ、人がいて家庭があって大切な家族がいて、と考えるとなぜかソワソワしていてもたってもいられらなくなるのだ。

それは多分、その灯りのもとで暮らす人々の全てが幸せではないことを知っているからだ。
あたたかな灯りのもとで、今まさに悲しい選択をしようとしている人がいることを知っているからだ。
それが、夜の街を彩っていることが、多分、怖くてたまらなくなる理由である。

その、悲しい灯りのもとで起きたいくつかの家族の結末について。 続きを読む 崩れゆく人々〜いくつかの家族の結末〜

女たちのそれぞれの事情~3つの女の事件~

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夫を殺す妻、子を殺す母。
その多くは精神鑑定が求められ、採用される。一部の専門家によれば、同じケースでも男性の場合は却下されるケースが目立つという。

個人の人格、知能の問題、そして精神の状態。

それぞれがそれぞれの事情で行った殺人と、その量刑。 続きを読む 女たちのそれぞれの事情~3つの女の事件~

男として、父として、主として~山形・一家4人殺傷事件~

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病院で男は眠る妻の前にいた。

医者からはもう意識が回復する見込みはないと告げられていた。
明るく、優しく、面倒見の良い素晴らしい妻。その妻が、左手をベッドにくくりつけられ、時に下半身をあらわにして寝かされている。
妻はもう、変わり果てていた。

男は妻がすべてだった。この妻なくして、自分は何一つできない、それを実感していた。
娘たちも母親がいなくてはおそらくどうにもなるまい。特に、下の娘は母親がこうなって以降、精神的に大きなダメージを受けてもはや男の手には負えなかった。
上の娘も他人とのかかわりが持てない性格。それも、自分の血を引いているせいだ。

なにもかも、妻がいたからこそ、こんな出来損ないの自分とその血を引いた娘たちも生きてこられたのだ。

もう、それも無理だ。

孫たちがいなくなればお義父さんもお義母さんも悲しみに暮れて生きていけないだろう。

みんな、連れて行こう。 続きを読む 男として、父として、主として~山形・一家4人殺傷事件~

🔓あなたが私を無視したから〜北海道・4歳長男殺害事件〜

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母親は4歳の我が子に、「ママとぎゅーってしよう」と言って呼び寄せた。無邪気に母親の腕の中に飛び込む息子。
その息子の首に、母はタオルを巻きつけた。そして力いっぱい、絞めあげた。

ぐったりした息子を床に寝かせ、母は自分の命を絶つために椅子を取りに向かった。すると、息をしていないはずの息子が、ふぅっと息を吐いたような気がした。
生きている!そう思った母は、息子の背中を叩き、人工呼吸も施した。が、息子がそれ以上反応することはなかった。

やっぱり死んじゃった。次は私の番だ、早く死ななきゃ。

そこへ、仕事に行ったはずの夫が突然帰宅した。

「……なにしてる?」

様子がおかしいことに気づいた夫は、虚ろな妻に詰め寄った。

「猛瑠、殺しちゃった。」

驚いた夫がさらに問い詰めると、妻はこういった。

「だってあんたが猛瑠をちゃんとみてくれないから!」

夫は息子の様子を確認した後、通報した。

平成23年7月14日

北海道清水町南の住宅から、「妻が子供に手をかけた」とその家に暮らすトラック運転手の男性から近くの交番に通報があった。
警察が駆け付けると、男性の長男で保育園児の猛瑠(たける)ちゃん(当時4歳)がぐったりしていて、その後救急搬送されたが死亡が確認された。

警察の調べに対し、家にいた猛瑠ちゃんの母親が首を絞めたと認めたことで、殺人容疑で母親を逮捕した。

逮捕されたのは佐々木尚美(仮名/当時32歳)。

部屋の中には遺書とみられるものがあったことなどから、警察では尚美が猛瑠ちゃんを殺害して自分も死のうとした無理心中とみて取り調べを続けた。部屋の鴨居には首を吊ろうとしたのか、ひもが掛けられていた。
後に尚美は家族について悩みがあったと供述した。

猛瑠ちゃんの首には絞められた痕跡があり、旭川医大で司法解剖された結果、窒息死と判明した。

幼い子供が母親によって殺害されるという腹立たしくも悲しい事件だったが、無理心中を図ろうとしたことが報道された後、その詳細についてはほとんど情報がなかった。
その後、尚美には懲役8年の実刑が言い渡されたが、公判で明かされた無理心中に至った経緯はあまりにも理解に苦しむものだった。

【有料部分 目次】
母のそれまで
子供の発育
破壊的な経済観念
本当の動機
この子誰の子
私が悪いんだろうけど