🔓狂気の世界~浦和市・実子3人殺害事件~

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令和6年6月11日、愛知県一宮市で幼い我が娘3人を殺害したとして母親が逮捕された事件で母親に判決が言い渡された。

母親は令和4年2月10日、一宮市の自宅で当時5歳、3歳、生後9か月の娘らの首を絞めて殺害、母親も手首などに軽傷を負っていたが、後に娘らの殺害を認めたため逮捕、起訴されていた。
当初から争点は責任能力にあった。初公判で母親が起訴事実を間違いないと認めた際には、弁護人が心神喪失状態だったと付け加えた。

検察が懲役25年を求刑したのに対し、弁護側は犯行当時心神喪失だったとして無罪を主張。被告人である母親も、自分をもう一人の自分が眺めている感覚、頭の中で声が聞こえていたといった証言もありその判断が注目されたが、判決は懲役23年。
裁判所は母親の完全責任能力を認めた(※令和6年6月15日現在判決は確定していない)。

正直、どんな事情があろうとも幼い我が子を3人も殺害した時点で感情としては死刑でいいやろ、というか、死刑にしたった方が本人も楽になるんちゃうかという乱暴な思いもある。が、基本的に家族間、特に親(母親)が幼い子供を殺害した「だけ」の場合は、この懲役20~23年あたりがどうやら「相場」になっているようだ。

一方でそもそも子供を殺すような精神状態になっている時点で異常とも言えるわけで、それが人格に由来するものなのか、それとも精神を病んでいる状態なのかの判断は非常に難しい。この一宮の母親は、検察もかなりその完璧主義の性格を強調していたように思う。
証言台に立った元夫も、被告人がスマホで得た情報を信じ込む性格、という話をしていた。

結局、地裁は完全責任能力を認めたため、過去の同種の事件の判決などを参考に量刑が決められたと思うが、産後うつで通院歴と投薬治療をしていたのに途中でやめていて、家事も育児も回っていない状態で希死念慮があり、かつ離人の症状があったり、頭の中で声が聞こえていると言った状態でも心神耗弱ですらないというのは正直驚きもあった。

昭和の終わり、この母親と同じように、わが子3人を殺害したこちらも完璧主義の母親がいた。そして同じように、ほぼワンオペ状態で子育てをしながらうつを患い、希死念慮を抱き通院もしていたが、ある出来事でタガがはずれそのまま子供3人を殺害し自身も自殺を図ったものの、死ねなかった。

その母親に対し、検察は懲役13年を求刑。しかし、浦和地裁はその母親に対して心神喪失無罪の判決を言い渡した。

その判決が、というのではなく、その判決文にある裁判長のいわゆる傍論に、私は度肝を抜かれた。

それは正義か。それとも、偏重か。

【有料部分 目次】

浦和の我が子殺し
優秀な母親と理想の家族
翳りゆく家
死にたいから、殺してよ
狂気の世界
裁判長
最も決定的な被害を受けたのは誰か
ふたたび、一宮の事件

悪魔~阪南市・19歳男性虐待餓死事件~

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幼い子供が一人で生きていくことも周囲に助けを求めるすべも知らずに家庭内で虐待された挙句、死亡するという事件は後を絶たない。

その事件は当初、すぐに事件化しなかった。
それは死亡した人物が19歳の男性だったということも関係していた。

19歳、普通で考えれば、自分で考えて行動できるはず。
男性は高校を卒業までは何ら変わった様子もなく、当然、持病などもなかったが、警察はその遺体の状況から司法解剖を実施。結果、男性は餓死していたことが分かった。

この男性に何が起きていたのか。 続きを読む 悪魔~阪南市・19歳男性虐待餓死事件~

🔒愛しているから、苦しんで~浜松市・小3女児殺害事件~

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「おはよう。子どもは起きた?待っています」

その日の朝、女性は離婚した元夫にメールを打った。ちゃんと娘を学校に遅れないよう行かせたかしら?
それにしてもあの人は昨夜なにをあんなに感情的になっていたのだろう。
勝手に娘を連れ出すなんて……
まぁ、子どものことは可愛がる人だから、娘と一晩過ごせたら頭も冷えるでしょう。

なんら、変わりのない朝だった。

ただ、彼女の娘は、生きて帰って来なかった。

事件

平成23年6月9日午後2時ころ、静岡県浜松市内のアパートから「娘を殺した」という110番通報が入った。電話の声は男性。すぐに警察がアパートに駆け付けると、部屋は鍵がかかっていた。
警察官が窓を割って室内に入ると、そこには意識を失った状態の成人男性と、小学生とみられる女の子が倒れていた。

男性は病院へと搬送されたものの、女の子はその場で死亡が確認された。
女の子は首を絞められ、さらには左手首にかなり深い切り傷もあった。

警察が室内を捜索したところ、遺書とおぼしきメモが見つかった。その後、搬送された男性は女の子の父親であると確認、状況から娘を道連れに無理心中を図ったとみられた。

15日、意識不明だった父親が回復したことから、警察は殺人の容疑で逮捕した。

かしの樹の下で~中国人妻と残留孤児の事件~

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平成時代、農業や漁業に従事する独身男性が多い地域に、そこでの生活と結婚を希望する女性らを引き合わせるお見合い番組がいくつかあった。
都会の生活に疲れた女性は、時に自然豊かなのんびりとした地方都市での生活に憧れを抱くこともあるのだろう。
しかし実際に来てみると、確かに食べ物は美味しいし自然は豊かだが、その生活を維持するためには想像を絶する労力と、地域との密接な関係の中で立ち回っていかなければならず、都会での人間関係など足元にも及ばない濃い人間関係や地域の風習はストレス以外にもなにものでもないと気づき、帰りのバスに乗ってしまう女性が多かった。

同じ日本人であっても、おいそれとうまく行かないお見合い。恋愛でも同じだ。

それが、言葉も通じないような相手だったら?相手の求めていた理想と現実が激しく乖離していたら?
帰る場所もない人たちだったら?

素晴らしい国、日本に憧れ日本の地にやって来た人々と、祖国日本へ帰ってきた人そして、殺された人、殺した人たち。 続きを読む かしの樹の下で~中国人妻と残留孤児の事件~

🔓お父さんは悪くない~続・ある家族の崩壊への軌跡/八尾市・長男バラバラ殺人事件~

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店先には、いつもその父親の姿があった。
缶ビール片手に、父親は客を待ちながらテレビの野球中継を見るのが常だったという。

「精神病院行ってんねん」

息子はそう言ってにこっと笑う。お気に入りのTシャツやスニーカーを「おっちゃん!見て!」と人懐っこく話しかける息子のことを、近所の人たちの中には親しみを持って接する人らもいた。

そんな息子の通院費を稼ぐために、父親は家業の自転車店のほかに、トラックの運転手や市場の鮮魚部門で早朝の仕事を掛け持ちしていた。
母親と次男はすでに家を出ていた。

小さな家に、父親と息子。

「仕方なかった」

そう呟いた父親は、同時に

「後悔していない」

とも話した。

鳴門の砂浜の胴体

平成17年5月11日、徳島県鳴門市の砂浜に、男性とみられる遺体が打ち上げられた。
遺体は、頭部と四肢が欠損した状態。明らかに、切断されて遺棄されたものだった。

指紋も顔も分からない場合、身元特定には時間がかかるかと思われたが、2日後身元はあっさり割れた。
警察のDNAデータベースに、遺体と合致するDNAが登録されていたのだ。

胴体は、大阪府八尾市在住の藤見一(はじめ)さん(当時33歳)と断定。一さんは当時八尾市内の実家で父親と二人で生活していたという。

警察がDNAが一致したことを踏まえて父親に話を聞きに行ったところ、なんとその父親が一さん殺害、切断、遺棄を認めた。

逮捕されたのは一さんの父親・秀雄(仮名/当時62歳)。
秀雄は一さんが自室で寝ているときに工具を用いて頭部を殴り、殺害したと自供。その後、遺体を解体して仕事で使用していた2トンの保冷車に積み込むと、大鳴門橋の上からその遺体を遺棄したと自供した。

秀雄は自転車店を経営しており、事件当時も店の入り口には「パンク直します。1台500円」といった張り紙もあった。
住宅街にある小さな自転車店。自宅も兼ねていたというその2階で、一さんは父親によって殺害され、バラバラにされて鳴門海峡に捨てられた。

取り調べに対し、秀雄は冒頭のように、仕方なかったと、後悔していないと話した。

秀雄は自転車業界でも知る人も多い人物だったという。事件を知った知人や同業者らはその人柄などに触れ、信じられないといった様子だった。

しかし、妻と息子二人との家族4人幸せな日々は、とうの昔に崩壊していた。

【有料部分 目次】
幸せな4人家族
変わり果てた両親
他害行為と絶望
「もう、悩まなくて済む」
「お父さんは悪くない」
医療観察法
当事者と他人の距離